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学園都市の惚れ薬

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572 :学園都市の惚れ薬 前編:2011/05/03(火) 01:10:38 ID:EfQ6sSok

「うう~寒っ!」

11月下旬、この日はかなり寒い日だった。
時刻は5時前、もう空は暗くなり始めている。
あまりの寒さに震えながら美琴が早く寮へ戻ろうと急いでいると元気のよい2人組に呼び止められた。

「「み~さ~か~さん!!」」

声をかけてきたのは美琴の友人である初春と佐天。
この日のテンションはなぜかかなり高い。

「な、何2人とも?なんかテンション高くない?というかなんでここに?」

美琴は嫌な予感がした。
この2人がこういうテンションの時はろくなことを聞いてきた覚えがない。

「いや~御坂さんに聞きたいことがありましてね!御坂さん昨日の放課後にツンツン頭の男の人と一緒にいましたよね!」
「もしかして彼氏ですか!?」
「かれっ!?」

彼氏という単語を聞いた瞬間美琴は顔を真っ赤にする。
そんな美琴を2人はにやにやしながら見ている。

「ち、違うわよ!!アイツが彼氏なわけないでしょ!!」

必死で否定するが声が裏返ってしまった。
それを見た2人はさらにニヤニヤしながら美琴を見ている。
昨日の美琴は普段自分たちには見せない表情をしていた。
それにとても楽しそうだったし彼氏ではなくとも好意はある、と2人は思ったのだ。
だからわざわざ美琴に会いに来たんだしあわよくばその人との関係についての話を聞いたりしようとしたわけだ。

「あ、あの、言っとくけどほんとに彼氏じゃないからね!!」
「じゃああの人のこと好きなんですか?」
「そ、そそそそそそそそそそんなわけないじゃい!アイツはサイッテーなやつなんだから!」

美琴の動揺っぷりは怪しいことこの上ない。
が、2人は美琴の言った“サイテー”という単語に反応した。

「最低?そんなひどい人なんですか!?」
「昨日見た限りではそうは思えませんけど……」

美琴は昨日の“いつ”見てたの激しく聞きたかったがとりあえずスルーすることにした。

「本当に最低よ!ひっどい女たらしなんだから!何かと理由をつけて女といるのよ。いつも別の女の子とね。それでいて私のことは無視するし。
他には平気で人に暴力振るったりもするわね。その上学校の成績も良くないし…挙げ出したらきりがないわ」

次々と上条の悪いところ誇張して挙げていく。
美琴の言う上条の“暴力”とは上条のクラスメイトとの軽いじゃれ合いの喧嘩を誇張しまくったことだ。
それを聞いた2人は完全に美琴の言ったことを完全に信じた。

「うわ~確かに最低ですねその人。そんな人と関わらないほうがいいですよ!」
「それとも何か弱みでもにぎられてつきまとわれてるんですか!?」
「え!?」

美琴としては彼氏だと思われないため、あとは2人にフラグが立たないために上条の悪口を言ったのだが少し言い過ぎた。
自分では最低と言っておきながらも他人に上条が最低と思われるのは嫌だった。
なんかむちゃくちゃだ。
誤解を解くため慌てて弁解しようとするが

「弱みをにぎられてるとかそんなことないわよ!?そ、それにいいとこもあるのよ。その…すっごく優しいし…困った時は助けてくれるし……」

と、今度は上条のいいところを挙げているうちに乙女モードに突入。
指をもじもじさせながら顔を赤くしてうつむいてしまう。
そんな美琴を見た2人は心配になってきた。

(この反応見てはっきりわかったけど御坂さんて絶対あの人のこと好きだよね、……でもなんだか怪しくない?)
(私もそう思います。支部へ行って少し調べてみましょうか!)

今の美琴の話を聞けば上条のことを怪しいと感じるのも無理はない。

「わかりました。じゃあ私たちはこれから少し用事があるので失礼します!」
「え、ああじゃあね2人とも」

こうして初春と佐天は美琴と別れ風紀委員の支部へと向かった。 続きを読む [IMAGE]