- 公開日 :
- 2012年02月08日 12時00分
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/09(水) 20:36:53.18 ID:0eUCbQVw0
「ねえつかさ」
聞きなれた声に顔を上げると、ベッドの上で姉が手を拱いていた。
私はそばにあったテーブルに剥き掛けのりんごを静かに置き、立ち上がった。
「なぁに、お姉ちゃん」
真っ白い、不健康そうな、殺風景で、静かな病室には私と姉だけがいた。
清潔感のあふれるシーツベッドに腰掛ける。
少しの間姉は私を見つめると窓の外に目をやった。
「みて、ほら桜」
病院の傍の桜並木は例年通りに満開となり、手をつないだカップルや子供連れでにぎわっているようだ。
この病室は6階だから外の様子がよく見える。
春の日差しが暖かい。
「きれいだね~」
私の口からは自然と言葉がこぼれる。
「うん、そうね…」
そういうと姉はさらに遠くに目をやった。
透き通るような青い空に、建物の影にちらほら見える桜のほのかなピンク色、
そして遠くにぼんやりと映った高層ビルはまるで一枚の絵のようだった。
⇒日本 桜の名所100選
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