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禁書SS「I'll save you all my Justice」

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422 :ぐちゅ玉:2010/05/13(木) 22:50:03 ID:s/pttEAY

「明日の皆さんのご予定は~?」
12月のとある土曜日の夕方、いつもの4人組は足早に帰宅の途についている。
佐天涙子は明日もヒマ――本来は宿題もあるのだが――なので、聞いてみたのだが。
「我々はお仕事ですの。午後から仕事というか緊急会議ですが」
「ほんと困ったものですよねえ。午前ならまだ、午後から空いたんですけど……」
白井黒子と初春飾利は申し合わせたようにため息をついた。
いくら正義の志があれども、日曜を潰されると気分が滅入る。

「私もダメだなあ。母さんが来るのよね」
御坂美琴が人差し指をあごに当て、思い出したかのように言った途端。

「あ、ああああああの、お姉様オーラ大人バージョン爆発の、あのお母様ががが!!!!!」
「アンタは落ち着け!」
黒子が暴れる前に一殴りし、黙らせる。

「へえ、お母さんがいらっしゃるんですか」
「うん、大学の用事のついでにね。ちょっとデパートで買い物付き合って、ご飯食べて、って感じ」
「久々なんですか?」
「大覇星祭に来てたから、3カ月ぶりってとこかな。ま、どーせ会ったって、ろくな事言わないんだけどね」
「ろくな事?あー、アレですか。彼氏できた?とかそういう……」
「そうそう!どこの親も一緒だと思うけどさー、ほっといてほしいもんだわね」
「言われてもいいように、彼氏作りましょうよ!」
「で、出会いがあればねえ。は、はは……」
後ろでその会話を聞いていた白井黒子が、意味ありげな目で美琴を見つめつつ、やれやれといったため息をついていた。

◇ ◇ ◇

日曜日。
佐天涙子は、ヒマにまかせて、そのオーラを発するという御坂母君を確認しようと、デパートに潜入した。
時間も不明だし、それなりに広いデパートなので、会う確率は低い。
むやみやたらに探すよりは……!と、受付までつかつかと向かう。

「すみません、今日、常盤台の制服を来た学生と、その母親らしき人との2人組、って見ませんでしたか?」
怪しい者ではないという意味も込めて、学生証をビッと出して受付嬢に挑む。
「常盤台中学の制服の方でしたら、先程前をお通りになられましたね。ご姉妹のようにも見受けられましたが」
「そうですか!どちらへ向かいました?」
エスカレーターの方を指し示され、佐天は一礼すると早足で向かった。

(婦人服階か……紳士小物系もありえるなあ)
佐天はエスカレーター前で立ち止まり、案内板の前でムムムと考える。
常盤台は制服が義務付けられているため、美琴の服を買うとは考えにくいし、母親に選んで貰う性格とも思えない。
母親の服としても、学園都市は科学は発達していても、衣類はわざわざ買うほどの先進性はない。
自然なのは、例えば父親へのプレゼントを母娘で選ぶといった類の……よし、紳士小物だ!時期的にもおかしくはない。

佐天は目的階に降りたが、……閑散としていた。まあここは学園都市、客層が合わないといえばそれまでだが。
ぶらぶらと売り場を見て歩いてみる。

客は見渡す限り、高校生らしき少年が一人いるのみであった。
佐天と同じく、ぶらぶらと見て回っている風である。
(いないなあ……読みが外れたかなー)
そう思って、エスカレーターの方に戻ろうとした、その時。

ガシャン!という音とともに、何かが大量に滑り落ちたような音がして、佐天は振り返った。
先程の少年が、ベルトハンガーと共に、ベルトの山に埋もれて一緒に倒れている。
「だ、大丈夫ですか!?」
慌てて佐天が駆け寄ると、少年が頭を掻きながらよろよろと立ち上がった。
「ふ、不幸だ……どうやったら引っ掛かんだよ…………あ、すみません。大丈夫だから」

佐天はベルトハンガーを起こすと、落ちたベルトをさっさと掛け始めた。
「わりいな、助かるよ」
「いえいえ~~」

「さすが上条くんね。もう隣に女の子がいるなんて」
佐天が声がした方を振り返ると、……カッコ良く成長した御坂美琴、としか思えない女性と。
その後ろで、状況判断能力を失ったかのように、呆然と立ち尽くす御坂美琴その人の姿があった。

◇ ◇ ◇ 続きを読む [IMAGE]