- 公開日 :
- 2012年03月14日 11時02分
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/11(日) 19:01:04.97 ID:ldBsxp7M0
【昨年四月の出来事】
花見から十日ほど経ったある日、高木殿から重要な報告があるとのことで、
あいどる全員が事務所に集められました。
響「一体何の報告なんだろうな」
真「今後の活動方針とかそういう話じゃないかな」
亜美「ピヨちゃんの結婚報告かもよ!」
真美「それはないっしょ→ だってピヨちゃんだよ?
そういえばお姫ちん最近見なかったけど、ど→してたの?」
貴音「体を壊して寝込んでおりました……もう大丈夫ですから心配は無用です」
皆がいつもより明るく感じられるのは、おそらくこれから報告されることなど何も知らないからでしょう。
報告がなされた時、皆のこの笑顔が閉ざされてしまうのかと思うと、わたくしは余計に暗澹たる気分になりました。
社長「オホン、全員集まったようだね。
あ~実は今日は大変残念な報告をしなければならない」
高木殿は気まずそうにもう一度空咳をすると、急に真顔になりました。
4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/11(日) 19:06:05.51 ID:ldBsxp7M0
社長「君たちのプロデューサーがうちの事務所をやめることになった。
もっと早くに報告すべきことだったのだが、あいにく予定がうまくあわず、今日報告することになってしまった。
こういう形で伝えるはめになってすまない」
いることが当たり前だと思っていた方が突然にいなくなったのです。
すぐには受け止められようはずもなく、わたくし以外皆信じられないといった顔をしていました。
律子「引き継ぎは終わっているから、みんなの面倒はしばらく私が見ることになるわ。
突然のことでみんなびっくりしているだろうけど、これからよろしく頼むわよ」
口調はいつものようにハキハキしているはずなのに、律子の声にいつもの張りはありません。
春香「引継ぎってことは、律子さんたちは前から知ってたんですか?
プロデューサーさんがいなくなること」
律子「やめることを知っていたか、って言われたらそうなるわね。引継ぎまで受けたんですから。
でもなんでやめるかまでは詳しく聞いてないわ。というより聞いても教えてもくれなかったんですもの」
春香「なんでもっと早く教えてくれなかったんですか? 第一プロデューサーさんもひどいですよ。
何もいわないでいなくなっちゃうなんて」
美希「社長は何か聞いてないの?」
社長「自己都合による退社だ。彼のプライバシーに関わることでもあるし
私の口からは何も言えない。といっても詳しいことは実は私も知らんのだ。
それだけは彼も頑なに口を閉ざしてね」
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/11(日) 19:11:36.36 ID:ldBsxp7M0
高木殿の言葉を聞くと、美希は携帯を取り出し、どこかへ電話をかけました。
美希「嘘なの……」
携帯を持った手がだらりとさがり、美希はその場に崩れ落ちました。
美希「ねぇ、社長は連絡先くらいは聞いてるんだよね? だったら教えて欲しいの」
すがるような声をだして美希が聞いても、高木殿は何も答えませんでした。
その後の事務所では、嗚咽する者、すすり泣く者、虚脱する者。悲しみ方も皆一様ではありません。
けれど、あの方がいなくなったことで皆の心に深い傷をついたということだけは同じでした。
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