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一方通行「イヤだ」part4 2

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267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/26(日) 20:17:12.24
ID:3Gtk1Gllo

―移動中

一方通行「……」

御坂「……」

垣根「……?どうしたオマエら、二人して沈んだ顔して」

麦野「辛気臭い面すんのは垣根だけで十分だっての」

垣根「サラッと酷い事言うなオマエは」

一方通行「あのよォ、今俺らは小児科に向かってンだよなァ?」

11111号「えぇ、その通りですよ?とミサカは先を歩きながら肯定します」

御坂「小児科って言うと、大体小学生くらいまでの子が診察対象なのよね?」

麦野「確かそうだったと思うけど、それが?」

一方通行「……イヤな予感しかしねェ」

御坂「うん……」

垣根「あん?」

268 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/26(日) 20:17:44.49
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11111号「はい皆さん、だらだら会話してる間に小児科に到着しましたよ、
早速診察室に行って小児科医の方に挨拶をしましょう、
とミサカは前方の扉を指し示します」ズビシ

一方通行「小児科医ねェ……」

御坂「気が進まないわね……」

垣根「そりゃこの病院にいる限り気が進むようなもんはねぇだろ」

麦野「頑なに『笑っちゃいけない』と思うから逆に笑えてくるのよね、気楽に行きましょ気楽に」

269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/26(日) 20:18:24.53
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―小児科、診察室

「待っていたわ、研修生の皆」

診察室に足を踏み入れた一行を、一人の女性が笑顔で出迎えた。
白衣を羽織っていることから辛うじて彼女が医療に携わる者だと推測できるが、
その服装は一般的なそれとは大きくかけ離れている。
なにせ、白衣の下には胸部を覆うサラシと学生風のミニスカートしか着用していないのだから。
『見られるのが趣味なんですか?見ていいんですか?ありがとうございます』と言いたくなるような格好である。

しかし問題はそんな事ではない。レベル5の一行に取って真に問題なのは
その露出狂染みた格好の、赤い髪の女性に見覚えがあると言う事であった。
一行の脳裏に、前回の彼女の奇行が色鮮やかに蘇って行く。

結標「よく来たわね、私が小児科医の結標淡希よ」フッ

デデーン♪

『垣根、麦野、アウトー』

270 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/26(日) 20:18:54.17
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垣根「マジモンのショタコンが小児科医ってお前……」

麦野「この配役だけはやっちゃダメだろ!!!」

一方通行「やっぱりなァ、イヤな予感してたンだよ……」

御坂「ねー。絶対どっかでこの人出てくると思ってたわー」

バチーン!!

垣根「ぐへあぁ!!!」

麦野「っづああぁぁ!!!」

結標「まったく、いきなり人の顔見て笑うなんて失礼ね、あなた達」フン

垣根「うるせぇよこのショタコン!オマエ絶対患者に手ぇ出してんだろ!?」

一方通行「ホモが肛門科医やってるよりも怖ェ……」

御坂「うぅぅ、イヤな思い出が……」ビクビク

271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/26(日) 20:19:18.17
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麦野「そういや美琴と第一位は前回この女に貞操狙われてたんだっけか」

11111号「一方通行は華奢ですから外見だけ見ればショタっぽいと言えない事もありませんし、
お姉様は女性としての魅力が乏しかった為にショタコンの琴線に触れてしまったんでしたね、
とミサカは過去を回想します」シミジミ

御坂「しみじみ回想すんな!!悪かったわね魅力なくて!!」

結標「ちょっとちょっと、何か散々な言われようだけど、私はショタコンじゃないわよ?」プンスカ

結標はレベル5勢からの罵倒の嵐を受けると、心外だ、とでも言いたげに
机に頬杖をつきながら憮然とした表情で彼らを睨み付ける。自分の普段の行動を省みれない人なのだろうか。
そんな結標に対し、一行、特にイヤな思い出のある一方通行と御坂は顔を顰めながら露骨に距離を取った。

結標「確かにどちらかと言うと年下の方が好みだけど、そんなの私が小児科医をやってる事とは関係ないわ。
って何で私から離れていくのよ、別に取って食ったりはしないって」

272 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/26(日) 20:19:56.86
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一方通行「因果関係ありまくりだろ!絶対ショタコンだから小児科医やってンだろオマエ!?
つーか前回取って食おうとしやがっただろォが!!」

御坂「すいません半径5m以内に近寄らないでください」

垣根「何気にキツい事言ってんな御坂、5mってかなり遠いぞ」

麦野「前回が前回だったからしょうがないでしょ、私が助けなかったらどうなってた事か」

一行が結標から距離を取りながら彼女の事をボロクソに詰っていると
それを遮る様にして、コンコン、とドアをノックする音が診察室に飛び込んで来た。

結標「あら、患者かしら?丁度いいわね、私の診察を良く見ていなさい。
私がどれだけ真摯に医療に取り組んでいるかわからせてあげるわ」フフン

一方通行「うわァ超見たくねェ……」

垣根「目の前でガキが×××される所見せ付けられるのかよ……」

麦野「こっちに被害が及ばないんなら別にいいんでない?」

垣根「そういう所マジドライっすね麦野さん」

273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/26(日) 20:20:21.35
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御坂「し、診察の邪魔だし私達は部屋から出てた方がいいんじゃない?」

11111号「いえいえ診察風景を見学するのも研修の一環ですよ、
とミサカはさり気なく逃げようとしたお姉様の道を阻みます」ククク

御坂「ぐぬぬぬ……」

垣根「腹括ろうぜ御坂、逃げられないのなんざ最初からわかってただろ」ポン

11111号「では邪魔にならないように部屋の隅に隠れて患者さんを待ちましょうか、とミサカは一行を誘導します」

11111号に促され、一行は仕方なしに部屋の片隅へと移動する。
彼らが移動したのを見届けると、結標はドアに向かって『どうぞ』と猫撫で声で返事をした。
ここで甘ったるい声を出す時点で何かもう真面目に診察する気があるとは到底思えないのだが。

「……失礼します」

一瞬の間の後、ゆっくりとドアが開き、マスクをかけた小柄な少年が一人、
躊躇いがちに診察室へと足を踏み入れて来た。
その姿を確認した瞬間、結標の瞳は猫科動物の如く拡大し、口元に歪な笑みが広がって行く。
まさに獲物を見つけた肉食獣さながらの反応である。
『真摯に医療に取り組んでいる』などとほざいた舌の根も乾かぬ内にこの様だ。

274 :そして現れるマイナーキャラ [sage saga]:2012/02/26(日) 20:21:00.32 ID:3Gtk1Gllo

結標「いらっしゃい、どうぞそこにかけて」ニタァ

「あ、はい、どうも……」

結標に促され、少年は若干引きながらも彼女の前の椅子に腰を下ろす。

結標「まずはお名前を聞かせてもらえるかしら?」ズイ

「あ、え……こ、香焼っす」

腰を下ろした少年―香焼が一息つく間もなく、結標は口付けをせんばかりの勢いで彼の方へと顔を寄せ、名前を尋ねる。
突如身を乗り出してきた結標に対し、香焼は慌てて身を逸らしながら、しどろもどろに答えた。
決して美人のお姉さんに急接近されて照れている、とかそう言うわけではない。
結標の気配にただならぬ物を感じ、気圧されているのだ。

結標「そう、香焼くんね?私は小児科医の結標よ、『お姉ちゃん』と呼んでくれて構わないわ。
いえ、むしろ呼びなさい」ニコッ

香焼「えぇぇぇ!?」ビクッ

デデーン♪

『全員、アウトー』

275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/26(日) 20:21:37.13
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一方通行「おいおいおい!獣の目ェしてンぞこの女ァ!!」

垣根「やべぇよコイツ、やっぱ筋金入りのショタコンじゃねぇか……」

御坂「お姉ちゃんってあんた……」クッ

麦野「しっかし気持ち悪い笑顔してるわ……」

11111号「今まさにショタが毒牙にかかろうとしているというのに爆笑してる皆さんもどうかと思いますがね、
とミサカは冷静につっこみを入れてみます」

バチーン!!

一方通行「おぐあァァァァ!!!」

垣根「ふいいぃぃぃい!!!」

御坂「あっふぅ!!」

麦野「ぐにゃああぁぁ!!!」

276 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/26(日) 20:22:02.82
ID:3Gtk1Gllo

結標「それで香焼くん、今日はどうしたのかしら?」ニコッ

香焼「え、えっと、どうも風邪引いたみたいなんすよ」ケホケホ

結標「なるほど、それでマスクをしてるのね。後でそのマスク貰ってもいいかしら?」

香焼「は、はい!?」

デデーン♪

『一方通行、垣根、麦野、アウトー』

一方通行「ダメだコイツ、早くなンとかしねェと……」

垣根「何に使う気だよ使用済みマスク……」

麦野「何にって、そりゃナニでしょうよ」

御坂「ちょっとやめてよ麦野さん、下品よ」

麦野「下品?私はナニとしか言ってないんだけど、美琴ちゃんは何を想像しちゃったわけ?」

御坂「うぇ!?」

一方通行「ったく、これだからむっつりは……」ハァ

277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/26(日) 20:23:09.83
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垣根「言ってやるなよ一方通行、御坂だって中学生なんだ、性的な事に興味くらい持つさ」フ

御坂「うるさいうるさい!そんなんじゃないもん!!
ちょっと、さっさとお仕置き執行してこいつら黙らせなさいよ!」

11111号「いやまぁ、言われずともやりますが……しかし、無理矢理口を封じようだなんて
どんどん腹黒くなって行きますねお姉様、流石はこのミサカのオリジナル、
とミサカは本性を曝け出し始めたお姉様にドン引きしながら裏方の妹達に指示を出します」ヤレ

バチーン!!

一方通行「ごああァァァァ!!!」

垣根「んがああぁぁあ!!!」

麦野「うがああぁぁ!!!」

278 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/26(日) 20:23:41.98
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御坂「ちょっと誰が腹黒いって?今のは妙な事口走った麦野さんが発端で……」

11111号「そしてこの責任転嫁です。いやぁ素晴らしい、とミサカは明後日の方向を眺めながらお姉様をベタ褒めします」

結標「誤解しないで香焼くん、私は何も個人的な理由であなたの使用済みマスクが欲しいと言ってるわけじゃないわ」

香焼「へ?」

結標「そのマスクに付着したあなたの唾液や粘膜を分析する事で速やかに病原体を特定して
それから専用のワクチンを生成するのよ」

香焼「いえ多分ただの風邪っすからそこまでして頂かなくてもいいと思うんすけど」

結標「シャラァァップ!!!風邪は万病の元よ!甘く見てたら死ぬわよ!!わかったらマスクをよこしなさい!!」カッ

香焼「ひいぃぃ!!!」

デデーン♪

『一方通行、垣根、御坂、アウトー』

279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/26(日) 20:24:12.42
ID:3Gtk1Gllo

一方通行「オマエがシャラップだクソがァァァァ!!」

垣根「おい誰かこの女止めろよ!!」

御坂「どんだけ必死なのよ……」

麦野「患者怯えまくってるわね、どう見ても医者の姿じゃねぇわ」

バチーン!!

一方通行「はァァァァ!!!」

垣根「おあったぁぁぁああ!!」

御坂「きゃう!!」

結標「コホン、大声出してごめんなさいね?でもそれだけ香焼くんの事が心配なのよ。
人間の身体って皆が思ってる以上に弱いものでね、
『たかが風邪だ』なんて高を括って取り返しの付かないことになるケースも珍しくないんだから」

香焼「は、はぁ、そうなんすか……」

280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/26(日) 20:24:38.89
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一方通行「取り返しが付かねェのはオマエの頭だろ……」

麦野「何か簡単に言い包められてるわね、所詮ガキか」

垣根「騙されるなー、逃げろ香焼くーん」

結標「まぁマスクは後で貰うとして、一先ず診察を始めましょうか」

香焼「あ、はいお願いします」

結標「うん、それじゃ脱いでください」ニコッ

香焼「……え?」

結標「脱いでください」ズイ

香焼「いやあの、え?」

結標「はよ脱げ」ハァハァ

香焼「えぇ!!?」

デデーン♪

『垣根、麦野、アウトー』

281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/26(日) 20:25:05.97
ID:3Gtk1Gllo

垣根「滅茶苦茶呼吸荒くなってんぞ!?」

麦野「いよいよガチ×××かぁ……」

一方通行「……」←前回結標に迫られたのを思い出して笑えない人

御坂「……」←同上

バチーン!!

垣根「はぐあぁぁ!!」

麦野「ぐええぇ!!」

結標「勘違いしないで!聴診器を当てるからシャツを捲り上げてって言ってるのよ!」

香焼「あ、そ、そういうことすか」ホッ

282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/26(日) 20:25:33.39
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一方通行「いや思いっきり『脱げ』とか言ってたじゃねェか」

垣根「オマエも一々つっこむなよ、キリがねぇぞ」

御坂「一方通行がつっこみ役に回るなんて珍しいわね」

麦野「童貞なのにつっこみ役とはねぇ」

11111号「あぁ!セリフ取られた!!一方通行を罵るのはミサカの役目なのに!
とミサカはむぎのんに先を越された事に歯軋りして悔しがります」ギギギ

一方通行「おい」

結標「はい、じゃぁ誤解も解けたしシャツを捲り上げてもらえるかしら?胸の上までね」ニコッ

香焼「えっと、こうすか?」メクリ

結標「んほぉおおおおおおおおお!!!!」ビクンビクン

香焼「何なんすかあんたはぁぁぁ!!!」ビクゥ

デデーン♪

『全員、アウトー』

283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/26(日) 20:26:05.35
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一方通行「もういいだろ!もうやめてくれ!!つーかあのガキも逃げろよ!!」

垣根「臨界点突破してんぞ!そろそろマジで止めろよ!!」

御坂「何か痙攣してるし……」

麦野「おまけに白目も剥いてるわね、ほっといたら死ぬんじゃない?」

11111号「実際問題、興奮のし過ぎで死ぬ方って稀にいるらしいですからね。
特に女性に多いそうですよ?とミサカは豆知識を披露してみます」

バチーン!!

一方通行「うがあァァァ!!」

垣根「ぬわあぁぁ!!!」

御坂「ひゃい!!!」

麦野「うわッッたぁ!!!」

284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/26(日) 20:26:47.42
ID:3Gtk1Gllo

結標「大丈夫、診察を続けましょう。もう一度服を捲り上げて貰えるかしら?」スーハースーハー

香焼「どう見ても大丈夫じゃないすよ!こっちはもういいすからあなたが診察受けて来てください!!」

結標「え?香焼くんが私の診察をしてくれるの?私の身体を隅々まで調べたいのね?
んもう、おませさんなんだから(ハァト」

香焼「本当に何なんすか……日本語通じないんすか……」ゲッソリ

一方通行「おい泣きそうになってンぞあのガキ」

垣根「かわいそうになぁ……ってあれ、何かオマエ嬉しそうなツラしてねぇ?」

11111号「一方通行は基本的に他人が可哀想な目に遭ってる姿見るのが大好きですからね、
何か琴線に触れるモノがあったのでしょう、とミサカは外道モヤシに嘆息します」ハァ

御坂「そっか、他人の嫌がる事するの大好きだもんねこいつ」

一方通行「別にイヤガラセそのものが大好きなわけじゃねェ、その後の反応を眺めンのが好きなンだよ」

麦野「他人が驚いたり苦しんだり必死に無駄な抵抗したりする姿見るのが好きで、
それを見る為の最適手段がイヤガラセってわけね。死ねよこのモヤシ」

285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/26(日) 20:27:14.82
ID:3Gtk1Gllo

結標「ごめんなさい冗談が過ぎたわ、緊張をほぐして上げようと思ったんだけどやり過ぎちゃったみたいね」フゥ

香焼「やり過ぎってレベルじゃないすよ……」グスン

結標「もう一度チャンスを貰えないかしら?苦しんでる患者さんをこのまま帰すわけにはいかないわ。
お姉ちゃんを信じて!悪いようにはしないから!」

香焼「苦しめたのはあなたすけどね」スンスン

結標「涙目ショタぺろぺろ!ぺろぺろ!!(泣かないで香焼くん)」

香焼「うわああぁぁぁぁん!!!」

デデーン♪

『全員、アウトー』

一方通行「クソッタレがァァァァ!!!」

垣根「本音と建前逆になってんじゃねぇか!!」

御坂「もうやめてあげて!本気で泣いてるわよその子!!」

麦野「てか長ぇぞこいつのパート!そろそろ終われよ!!」

286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/26(日) 20:27:46.11
ID:3Gtk1Gllo

バチーン!!

一方通行「いっでええェェ!!!」

垣根「ぐぬああああ!!!!」

御坂「いたああああ!!!」

麦野「っつううううう!!!」

香焼「も、もう本当に僕はいいすから!!失礼します!!」ガタン

結標「あ……」

ついに結標の奇行に耐えられなくなったらしく、香焼はすっ転ぶように慌しく椅子から立ち上がると
涙も拭わずに脱兎のごとく駆け出した。それにしても良くぞここまで耐えたものである。
普通の人なら使用済みマスクを要求された時点で立ち去ろうとしているだろう。

香焼は振り返りもせず一気にドアまで走り寄り、
何とかこの魔窟から逃れようと試みた。しかし――

結標「んもう、駄目じゃない逃げちゃ、診察はまだ始まったばかりなのよ?」

香焼「……え?」

今まさにドアを開かんとしていた香焼は、次の瞬間には何故か結標の目の前に立っていた。

287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/26(日) 20:28:16.96
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香焼「な?え?ど、どうして!?」

突然の事態に香焼はDIOと対峙したポルナレフの如く困惑する。
ほんの一瞬前まで、彼はこの部屋から逃れる為にドアを開けようとしていたはずだ。
その時点で香焼と結標は距離にして数mは離れていたに違いない。
にも関わらず、今は手を伸ばせば届くような距離まで結標が迫って来ている。
否、結標が香焼に迫ったのではない。彼女は変わらず診察室の中央で椅子に座ったまま微笑んでいる。
そう、逃げようとしていた香焼の方が、強制的に結標の目の前まで移動させられたのだ。

結標「何人たりとも、私の座標移動からは逃げられないわ」クス

結標は狼狽する香焼を上気した顔で見つめながら、クスクスと笑みを零す。
『座標移動(ムーブポイント)』。結標の持つレベル5にも迫る最強の空間移動能力は
始点と終点が固定されておらず、範囲内ならば任意の物を任意の場所へ、彼女の思うが侭に転移する事が出来るのだ。
もし結標がその気になれば、手を触れずとも範囲内の人間の服だけをすっ飛ばしたり
逆に服を引き剥がした生身の身体だけを自分の腕の中に移動することも可能だろう。
正直、変態が一番手にしてはいけない能力である。

288 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/26(日) 20:28:47.09
ID:3Gtk1Gllo

結標「さ、診察を再開しましょう?もし次に逃げようとしたら、いたーい注射をしちゃうからね?」グヘヘヘ

香焼「ひぃ!?」

結標「どうも聴診器当てられるのに抵抗感があるみたいだし、特別サービスで触診にしてあげるわ」ワキワキ

香焼「いやもう聴診器で!是非聴診器でお願いします!!」

結標「さ、楽にしてお姉さんに身体を委ねなさい」ガシ

香焼「いやちょ、やめ……ちょ、マジで……どこ触ってんすかああぁぁぁぁ!!!」

結標「うっひょおおおぉぉぉ!!!生ショタ柔らけええぇぇぇ!!!!」モゾモゾモゾ

香焼「いやあああぁぁぁぁ!!!」

デデーン♪

『全員、アウトー』

289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/26(日) 20:29:20.41
ID:3Gtk1Gllo

11111号「この状況で笑うとかお前ら鬼畜かよ、とミサカは腹を抱えているレベル5勢を非難します」

一方通行「一番最初に吹き出したのオマエだろォが!!」

垣根「こっちは釣られて笑っちまったんだよ!!」

御坂「か、かわいそうだとは思ってるのよ?ほんとよ?でもちょっと、あんまりリアクションが派手だからつい……」

麦野「いやぁこれは笑うわ、うん。他人の不幸すっごく楽しい」

バチーン!!

一方通行「ごほォあァァ!!!」

垣根「エンッ!!!」

御坂「あぐッッ!!!」

麦野「ぎにゃあぁ!!!」

290 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/26(日) 20:29:47.70
ID:3Gtk1Gllo

結標「ほらほらここ?ここがいいんでしょ?ん?お姉さんに言ってみなさい」ハァハァハァ

香焼「も、もうやめ……や、下半身は……あぁぁぁーーーッ!!!」

11111号「……あー、こっから先はR18への一方通行になりそうなんでそろそろ退室しましょうか、
とミサカはドアを指差しながら提案します」

垣根「あ、助けねぇの?」

11111号「助けたところで一文の得にもなりませんし」

御坂「いやいや助けてあげましょうよ!あのままじゃあの子本当に……」

11111号「もし結標先生から香焼くんを引き剥がした場合、標的がこちらに移る可能性もあるのですが
お姉様はそれを覚悟の上で助けようとおっしゃっているのですか?
とミサカはお姉様を正面に見据えながら尋ねます」

御坂「……ごめんね香焼くん、あなたの事は忘れないわ」

一方通行「変わり身早ェな、流石腹黒」

麦野「でも美琴のこういう所嫌いじゃないわよ?」

291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/26(日) 20:30:20.47
ID:3Gtk1Gllo

11111号「それでは部屋から出て次に向かいましょう。結標先生、どうぞごゆるりと、
とミサカは別れの挨拶をしながらドアを開きます」ガチャ

一方通行「達者でなァ」

垣根「死ぬなよ香焼くーん」

御坂「早く行きましょうよ、何かの拍子でこっちを標的にされたら堪ったもんじゃないわ」

麦野「落ち着きなさいって、目の前に餌がある内は大丈夫でしょ」

結標「あら、もう研修は終わり?また来てね」ニコッ

香焼「た、助け、助けてええええぇぇぇ!!!」イヤァァァ

11111号「ちゃお、とミサカは手を振りながらドアを閉めます」バタン

結標「さ、邪魔者はいなくなったし心行くまで楽しみましょう?」ドゥフフフ

香焼「ひ……ッ!も、もうやめ……」

結標「ねぇ香焼くん、硬いのと太いのと、どっちがお好みかしら?」ニッコォ

香焼「いやだあああぁぁぁ!!どっちもいやだあああぁぁぁぁ!!!!」

結標「え、どっちも?仕方ない子ねまったく……」フフフフフ

香焼「やめてええぇぇぇぇぇ!!!!」

292 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/26(日) 20:30:53.24
ID:3Gtk1Gllo

「あっ……」

293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/26(日) 20:31:19.58
ID:3Gtk1Gllo

人物名鑑

結標淡希(むすじめ あわき)

重度のショタコン。相も変わらず全力全壊絶好調である。
あらゆるギャグSSでキャラがブレない事に定評がある。フルスロットル!
ショタコンなだけならまだいいのだが、彼女はレベル5級の能力(それも性的な事に使えそうなもの)を持っており、
しかもそれを思いっきり悪用するので凄まじく性質が悪い。誰かどうにかして。
しかし意外と好みがうるさいらしく、某身長2mの14歳には反感を抱いており、
『ショタを冒涜している』として粛清した過去がある。
ロリキャラ、ショタキャラにおいて一番重要なのはやっぱり見た目だよね。
part3まではショタらしいショタが登場しなかった為、一方通行や御坂に反応していたが、
今回は晴れて香焼くんが登場したので、全力でそっちにアプローチをかけに行った。
結果、一方通行達が性的な被害を被る事は無かったが……それはそれで寂しいなぁ。
そろそろ普通な結標さんを書きたいです。と毎回言っている気がする。

香焼(こうやぎ)

天草式十字凄教という日本の十字教一派に所属している小柄な少年。フルネーム不明。
禁書界における貴重なショタ担当。短パンとかが良く似合いそうな容姿をしています。
つーか禁書はロリキャラ多いのにショタキャラ少なすぎだろ……
「結標を暴れさせたいなー」という作者のアバウトな思惑から登場する羽目になってしまった可哀想な子。
まさに結標に襲われる為だけに出てきたようなキャラである。めんごめんご。
この後彼が結標に何をされたのかは不明。何とか隙をついて逃げ出していて欲しいものだ。
あれ、これ下手したら十字教と学園都市で戦争になるんじゃね?

301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/02/26(日) 21:19:36.47
ID:CwDVPjSAO
あわきんのブレなさ半端ねえ

香焼くんが出てくるssだと大抵彼はあわきんにロックオンされてる気がするがガチでここまでの目に遭ってるのは初めてだ
ある意味上条さん以上に不幸な子だな……

302 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) :2012/02/26(日) 21:32:53.80 ID:C6kURD53o
あわきんに襲われて不幸だとか言ってるやつらは正気か?
どう考えてもご褒美だろうが!!

303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/26(日) 21:57:33.74
ID:+Zh4PxYho
ばっかお前
>結標「ねぇ香焼くん、硬いのと太いのと、どっちがお好みかしら?」ニッコォ
これが見えないのか入れる側じゃなくて入れられる側だぞ

321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:44:37.10
ID:x8JWZkAEo

―移動中

一方通行「あァクソ、あのショタコン散々暴れやがって……」

垣根「ケツ痛ぇ……」

御坂「ちょっと垣根さん大丈夫?フラついてるわよ」

麦野「そんな事でいざって時に私達の盾になれるわけ?」

垣根「何でオマエらの盾になる前提なの?」

辛くも小児科から離脱したレベル5勢だったが、そのダメージは深刻であった。
エンジン全開の結標の奇行により散々アウトを取られた彼らは、
企画開始からまだそれ程時間は経っていないというのに、早くも心身ともにボロボロの状態となり果てている。
特に院長室でビンタを喰らったり麦野に蹴りを喰らったりした垣根はだいぶ足にきているようで
先程から覚束ない足取りでフラフラと一人遅れるようにして一行の最後尾を歩いていた。

一方通行「どォしたよ、前回は第七位に何度かぶン殴られてもあっさり回復してたオマエが」

麦野「フレンダの爆弾で爆破されてもピンピンしてたあんたが」

垣根「良く生きてんなー、俺……」

322 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:45:06.42
ID:x8JWZkAEo

御坂「ドンマイ垣根さん」

垣根「心のこもってない励ましはやめてくれ、メンタル面にくるから」

御坂「こめてるわよ!?」

11111号「ていとくんの回復が遅いのは今回ギャグがパンチ力不足なんでギャグ補正が薄いせいでしょう、
とミサカは自虐ネタで誤魔化そうとしてみます」

一方通行「そォいうのはやめろってのに」

麦野「ところで今どこに向かってんの?」

11111号「外科の方に向かっております、とミサカは返答します」

垣根「ふーん外科か、何か病院の華って感じがするな」

一方通行「確かに、病院と言やァ外科手術、みてェなイメージあるわな」

御坂「医療系の漫画やドラマも大抵は外科医が主人公だもんね」

麦野「そういうのってブラックジャックの影響とか大きいのかねぇ、やっぱり」

11111号「医療漫画というジャンルを確立した作品ですからね、
手塚先生は実に偉大なお方です、とミサカは時代の先駆者を褒め称えます。
あ、ちなみにそこの階段下りたらもう外科に着きますよ」

垣根「ん、もうか……流石に外科医に妙な奴は持ってこねぇよな?つーか冥土帰しだよな多分」

一方通行「オマエのそォいう迂闊な発言は逆方向のベクトルでフラグが立つからやめろ」

323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:45:46.48
ID:x8JWZkAEo

麦野「てか外科医が冥土帰しだったとしても油断は出来ないでしょうよ、今朝の見る限り」

御坂「あー……すっごい叫びながら心臓マッサージしてたわよね……」

一方通行「アレイスターの野郎、陸に打ち上げられた魚みてェにビクンビクンしてやがったしなァ」

垣根「ビクンビクンしてたなぁ」

麦野「ビクンビクンしてたわねぇ」

御坂「ビクンビクンしてたしてた」

一方通行「ビクンビクンなァ」

垣根「……」チラッ

麦野「……」ジッ

御坂「……」ジト

一方通行「………グッ」ブフッ

デデーン♪

『一方通行、アウトー』

324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:46:14.15
ID:x8JWZkAEo

一方通行「何なンだよオマエらァァァァ!!!
突然黙ンなよ!!!こっち見ンなよォォォォ!!!」

垣根「ぃよっし」グッ

御坂「やっぱこういうの弱いわねあんた」フッ

麦野「ざまぁ」

11111号「『悔しい……でも、感じちゃう!(ビクンビクン)』とか思ってんだろ?このドMちゃんがぁ!!
とミサカは冷めた目で一方通行を罵ります」

一方通行「だァれがドMだクソボケがァ!!!」

バチーン!!

一方通行「ぎいィィィィ!!!」

325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:46:49.27
ID:x8JWZkAEo

麦野「そういや垣根、あんた足大丈夫?そろそろ回復した?」

垣根「あぁ?まぁ普通に歩く分にはそれ程問題ねぇよ、まだ多少フラつくけどな」

一方通行「うわ、第四位が垣根の心配してやがる気持ち悪ィ」

御坂「いやいや私ら三人普段仲いいからね?麦野さんも本当は優しいのよ?」

一方通行「ねェわァ……」キモイワー

垣根「オマエ、あんまり言ってると麦野にぶっ殺されるぞ?」

麦野「んー……」

垣根「って聞いてねぇのかよ……何考え込んでんだ?」

御坂「どうしたの?」

麦野「今から階段下りるのよね?」

11111号「その通りですよ、エレベーターなんざ使わせません、てか使ってはいけません、
とミサカは研修生の立場の低さを暗に示します」

一方通行「……なァるほど、下りの階段プラス足にきてフラついてる垣根、そォいう事か」

垣根「おいコラどういう事だ」

麦野「これってフラグよねぇ」ハァ

一方通行「フラグだよなァ」ヤレヤレ

326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:47:17.31
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御坂「ど、どうしよう……もしそんな期待通りの事が起きたら笑わないでいる自信がないわ……」

垣根「なぁにがフラグだ!!オマエらは何処まで俺を痛めつけてぇんだよ!?
つーかいくら足にきてても階段で足踏み外して転がり落ちるなんて間抜けを俺がやらかすと思ってんのか!?」

一方通行「はァい追加のフラグいただきましたァ」

麦野「多分あんたが余計な事言えば言うほどアクロバティックに落ちていく羽目になると思うわよ?」

御坂「階段から転げ落ちるのはもう確定みたいなもんよね、これ」

一方通行「つかここまでフラグ立ってて転ばなかったら逆にすげェわ」

垣根「言いたい放題言いやがって……」

11111号「まぁまぁていとくん、転がり落ちなくてもちょっと場が盛り下がるだけですから
どうぞお気になさらずに普通に下りてください、とミサカはていとくんを励まします」ガンバ

垣根「何で俺が転がり落ちなきゃいけないみたいな空気を作っちゃうの!?」

327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:47:44.42
ID:x8JWZkAEo

一方通行「とりあえず垣根先頭で行かせようぜ」

麦野「そうね、後ろから転がり落ちて来られたら巻き込まれるかもしれないし」

御坂「垣根さん、ファイト」オー

11111号「カメラの準備は出来ております、とミサカは親指を立てながらていとくんを送り出します」グッ

垣根「転ぶわけねぇだろバカ、バァーーカ」ペッ

妙な期待を寄せている四人を横目で睨みつつ、垣根は仕方なしに先頭に出る。
階段はかなり長めだが、病院という事もあって傾斜は緩く、中間の踊り場で折り返しになっており、
更に手摺もしっかりと備え付けてある。健常者が普通に下るのならば転ぶ要素などほとんどありはしないし、
万一転んでも踊り場で止まる為、そこまで大事にはならないだろう。
また、いくら垣根のダメージが多少足にきているとは言え、既にその気になれば走れる程度には回復しているのだ。
はっきり言って、余程笑いの神に愛されてでもいない限りここで転ぶような事はまずないと言っていい。

しかし、だからと言ってここで油断しては思う壺である。万が一という事もあるし用心するに越した事はない。
垣根は期待に胸膨らませる四人の視線を背中に感じながら、臆病な程ゆっくりと慎重に、階段に一歩踏み出した。

328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:48:11.61
ID:x8JWZkAEo

垣根「ぬへあぁぁぁーーーーッッ!!!!」ズテン、ゴロゴロゴロ

んで転んだ。やっぱり転んだ。お約束通り転んだ。
一段目で速攻足を踏み外した垣根は、奇声を発しつつ
前宙を決めるようなアクロバティックな動きをしながら転がり落ちて行った。

垣根「ごぷっ!!!」ベチャ

そして勢い良く踊り場まで転げ落ちると、折り返しの壁に顔面から突っ込んだ。

垣根「ぷああぁぁぁーーーー………」ゴロゴロゴロ

リアクション芸人垣根がそれだけで終わるはずもなく、ぶつかった反動で壁に弾かれた彼は
今度はバク宙でもするかのような勢いで後ろに吹っ飛ばされ、
踊り場で止まる事も無く更に下へ転げ落ち、悲鳴を上げながら完全に四人の視界から消えて行った。
まったく、期待を裏切らない男である。物理法則を完全に無視した動きをしているのはご愛嬌。

デデーン♪

『一方通行、御坂、麦野、アウトー』

329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:49:01.10
ID:x8JWZkAEo

一方通行「はァい垣根くゥン!フラグ回収お疲れ様でェす!!」ゲラゲラ

御坂「いや凄いわ垣根さん、信じられないくらい綺麗に転んだわね」クスクス

麦野「本当、流石としか言い様がねぇわ」ケケケケ

11111号「狙ったんじゃないかってくらい器用な転がり落ち方してましたね、
折り返しの壁に弾かれて更に転がっていくところなんてもう芸術的でした、
とミサカはカメラを回しつつ腹を抱えて爆笑します」ケタケタ

バチーン!!

一方通行「ぐがああァァァ!!!」

御坂「やああぁああ!!!!」

麦野「んに゛ゃあぁぁぁぁ!!!」

御坂「うぅぅ、痛い痛い……」サスサス

一方通行「まァ垣根は多分もっと痛ェンだろォけどな」

麦野「痛いでしょうねぇ、あの落ち方は……」

330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:49:28.81
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一方通行「転ンだっつーかもォ飛ンでたもンな、体操競技かと思ったわ。
俺が審査員だったら満点出してたぜ」

御坂「クッ」

麦野「ゴフッ」

デデーン♪

『御坂、麦野、アウトー』

御坂「余計な事言ってんじゃないわよもおおお!!!」

麦野「クッソ、転んだ瞬間の垣根のツラがフラッシュバックした……」

一方通行「今別に笑わせる気なンざ全く無かったンだが……」エー

バチーン!!

御坂「あああぁぁあん!!!」

麦野「いってえぇぇぇぇ!!!」

331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:50:19.61
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11111号「……何と言うか、むぎのんの悲鳴はかわいくねぇな、もうちょっと何とかならないんですか?
とミサカは誰もが思っているであろう事を今更ながらつっこんでみます」

麦野「あぁ!?」

一方通行「おいおい、かわいいの対極みてェな女に何を求めてンだよオマエは。
つーか第四位が下手にかわいさとか出しやがったらこっちが笑い死ンじまうから余計なつっこみすンな」

麦野「テメェら調子ぶっこいてるとまとめて捻じ切るぞ」パキパキ

御坂「そうよ!麦野さんだって本当はかわいい女の子なんだから!」

一方通行「ゴホッ」

麦野「テメェ何吹き出してんだコラァァァァ!!!」

デデーン♪

『一方通行、アウトー』

332 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:50:47.47
ID:x8JWZkAEo

一方通行「か、わ、い、い、女の子(笑)」ゲラゲラ

麦野「決めた、お前殺す。お前だけは絶対殺す」プルプル

一方通行「落ち着けよ、かァわいいツラが台無しになってンぞォ?スマイル、スマァイル」ゲラゲラゲラ

麦野「ぬがあああああああ!!!!」ビキビキビキィ

御坂「……何かごめんなさい」

バチーン!!

一方通行「っでェああァァァ!!!」

一方通行「あァァクソ、いってェ……」サスサス

麦野「大丈夫?第一位……」ポン

一方通行「あ?」

顔を顰めつつ、打たれた尻を擦る一方通行。麦野はそんな彼を心配するかのように、
優しげな手つきで正面から一方通行の肩をぽんと叩く。
不自然に優しい麦野の態度に、一方通行は怪訝な顔をしつつ彼女の顔を覗き込んだ。
そんな一方通行を他所に、麦野はニコニコとまるで聖母のような微笑を浮かべたまま、
真正面から両手で一方通行の肩をガッシリとホールドする。

333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:51:14.26
ID:x8JWZkAEo

麦野「オラ私からも一発喰らっとけや!!」

ドスン!!!

一方通行「あぐォァッッ!!!」

渾身の膝蹴り(鳩尾狙い)であった。

11111号「すっごい鈍い音がしましたね、とミサカは一方通行の内臓をちょっぴり心配してみます」ナムナム

麦野「ハッ、能力なけりゃただのモヤシの癖して私につっかかってくるからこういう目にあうんだよ」

一方通行「お、おお、ォォォ……」ピクピク

御坂「……クッ」

デデーン♪

『御坂、アウトー』

334 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:51:41.28
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御坂「ええぇぇ!?ちょっと私今笑ってないってえぇ!!!」

11111号「いえ思いっきり吹いてましたお姉様、とミサカは冷静にジャッジを下します。
しかし腹を蹴られて悶えてる一方通行を見て吹き出すだなんて、
お姉様も随分鬼畜っぷりが板についてきましたね」クククク

御坂「違う!違うわよ!仮に笑ってたとしてもあんたに釣られて笑っちゃったのよ!!」

一方通行「ゲホッゲホッゴホッ……ハッ、こ、ここまで、計算の上だぜ……ゴホッ」フッ

麦野「そりゃ流石に嘘だ」

バチーン!!

御坂「いひゃああぁぁぁぁ!!!」

11111号「さてお三方が楽しげな所を申し訳ないのですが、そろそろ下に行きましょう。
ていとくんがどうなってるのかも心配ですし、とミサカは今更ながらていとくんの事を気にかけてみます」

一方通行「ケホッ、あァ、そォいやアイツ戻ってこねェな」ゴホゴホ

11111号「いつまで咳き込んでんですかこのモヤシは、とミサカはモヤシのあまりのモヤシっぷりに嘆息します」ハフゥ

335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2012/02/29(水) 19:52:11.12
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麦野「んー、単に下まで行って私らを待ってるのか、それとも」

御坂「階段を上ってこれないほどのダメージを負ってるか……?」

11111号「後者でいきましょう、とミサカはお姉様の案を採用します」

御坂「いや、いきましょうってあんた……」

一方通行「あの勢いなら下まで転がり落ちたのは間違いねェだろォしなァ」

麦野「死んでなきゃいいけどねー」

11111号「それはそれでネタになりますよね、
とミサカはていとくんがお亡くなりになっていた場合を脳内シミュレートしてみます」プークスクス

御坂「死んでたら流石に笑えないわよ……」

11111号を先頭に、四人はようやく階段を下り始める。
この時既に垣根が転がり落ちてから優に五分は経過していた。
階段から転がり落ちた上に放置プレイされるとかちょっと高度すぎやしませんかね?
今回は垣根にやさしくしてあげたいとか宣言してた気がするがそんな事は無かったぜ!

大丈夫だよ、私はそんなかきねを応援してる。

336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:52:37.27
ID:x8JWZkAEo

一方通行「しかしまァアイツは無駄に頑丈だからなァ。
実際の所、階段から落ちたくれェなら死ぬどころかほぼ無傷でピンピンしてンだろォよ」

11111号「ビンビンと申したか」

一方通行「申してねェよ」

御坂「あんたらそういう下らない小ネタで笑わせようとすんのやめなさいよ……」ピクピク

一方通行「こンな小学生レベルの下ネタで笑いそうになンのかオマエは」

11111号「下ネタにきっちり反応してるあたり、お姉様も案外好き者ですなぁ、
とミサカはいやらしく笑ってみます」ニタニタ

御坂「は、はぁ?下ネタって何のことよ?」

11111号「チッ、カマトトぶりおってからに、とミサカは露骨に顔を顰めます」

麦野「ちょっとちょっと、あんまりうちの美琴ちゃんをからかわないでくれる?
そっちのクローンと違ってこの子純真なんだから」

一方通行(保護者気取りは歳だけにしとけよ、とか言ったらまた蹴られるンだろォなァ)

11111号「むぎのん、一方通行が何か言いたそうですよ?とミサカは素早く思考を読み取ります」

一方通行「うォい!」

麦野「あぁ?んだこらモヤシ」ギロ

一方通行「何でもねェからこっち見ンな!」

337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:53:10.16
ID:x8JWZkAEo

垣根の不死身っぷりを良く知っている四人は一切彼の心配をする事無く、
和やかな会話を繰り広げながら焦らず急がずゆっくりと、
垣根のようにすっ転んでしまわないよう注意を払いながら階段を下っていく。
途中、踊り場の壁に血痕が付着しているのを発見してしまい吹き出しそうになった一行だったが
何とかそれも堪え、四人は無事階段を下りきった。
そして――

垣根「」ドクドクドク

一方通行「ウグッ」

麦野「クッ」

御坂「か、垣根さあぁぁぁん!!!」

階下で血を流しながらうつ伏せに倒れている垣根を発見し、一方通行と麦野の二人が同時に吹き出した。

デデーン♪

『一方通行、麦野、アウトー』

338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:53:42.28
ID:x8JWZkAEo

一方通行「まァた派手にぶっ倒れてやがンなァコイツ……」アチャー

麦野「やっべ、意外と血ぃ出てるわよこれ、笑えるわー」

御坂「いやいや笑い事じゃないでしょ!?」

11111号「お姉様の予想が大当たりでしたね、流石です、とミサカは親指を立てます」グッ

御坂「私のせいみたいに言わないでよ!!」

垣根「」シーン

バチーン!!

一方通行「ぐおああァァァ!!!」

麦野「ぐああぁぁぁぁ!!!」

御坂「まったくあんたらは……垣根さん、大丈夫?」

垣根「」グター

血を流して倒れている人間を前にして笑い転げる外道どもに呆れつつ、
御坂は急ぎ垣根の元へ駆け寄り、ぐったりと体中の力が抜けている垣根を助け起こす。
腹黒ではあるが根はいい子である。数少ない常識人枠は伊達ではない。

339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:54:09.59
ID:x8JWZkAEo

一方通行「ったく、一々大げさなンだよ垣根は」チッ

麦野「階段から転げ落ちたくらいでねぇ」

11111号「あんだけ愉快に転げ落ちたら普通はこうなりますって、
とミサカは珍しく真面目につっこみをしてみます」

一方通行「垣根の耐久力は普通じゃねェはずだろォが」

垣根「」グッタリ

御坂「垣根さん?垣……え?」ユサユサ

麦野「ん?どうかした?」

相変わらず垣根の心配などそっちのけで雑談していた外道どもを尻目に
垣根の介抱をしていた御坂だったが、不意にその表情が曇り、カタカタと小刻みに震え始める。
その様子を妙に感じた麦野がようやく雑談を切り上げそちらに注意を向けると、
御坂は青白い顔をしながら麦野の方へと向き直り、ゆっくりと口を開いた。

御坂「………息、してない」

垣根「」チーン

一方通行「………グゥッ」

麦野「プフッ」

デデーン♪

『一方通行、麦野、アウトー』

340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:54:37.25
ID:x8JWZkAEo

御坂「だから笑い事じゃないってえええ!!!息してないのよ!?呼吸止まってんのよ!?」

11111号「ロスでは日常茶飯事ですよお姉様、とミサカはお姉様を宥めます」

御坂「知らないわよ!!何よロスって!?」

麦野「ロサンゼルスのことでしょ?アメリカで二番目に人口の多い国よ」

御坂「いやそういう事じゃなくて……」

一方通行「あァ、こりゃ冗談抜きで不味ィな……
ここで垣根が退場しちまったらその分俺らの負担が増えちまう」ゴクリ

御坂「そういう方面の心配じゃなくて!!」

バチーン!!

一方通行「だおおォォォ!!!」

麦野「っでええあぁぁぁ!!」

341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:55:08.76
ID:x8JWZkAEo

御坂「垣根さん、垣根さん!」ユサユサ

垣根「」

麦野「ま、そんなに心配する必要もないでしょ。第一位も前回呼吸止まってたし」

御坂「一方通行は別に死んでもいいけど垣根さんは……」

一方通行「酷くねェ?俺死ンでもいいのかよ」

11111号「あなたは普段が普段ですし、ぶっちゃけ死んだ方が世の為人の為ですよ、
とミサカは外道モヤシをジト目で見ながらぶっちゃけます」

一方通行「オマエにだけは言われたくねェが……
俺が生きてる事そのものが世界へのイヤガラセになるわけか、そいつァいいな」

麦野「開き直りやがったこのモヤシ」

御坂「元々他人にイヤガラセするのが生き甲斐みたいな奴だしね……」

垣根「」

11111号「そろそろ不憫なていとくんをどうにかしましょうか。
幸いにしてここは病院で外科はすぐそこですし、ちゃちゃっと運んで治療して頂きましょう、
とミサカは裏方の妹達にていとくんを運ぶよう指示を出します」ゴー

11111号が指示を出すとすぐにキャスター付きのストレッチャーを押す裏方の妹達が数人現れた。
彼女達はテキパキとした動作で垣根をストレッチャーに乗せると、無駄の無い動きでスピーディーに彼を運んで行く。
またそれだけではなく、いつの間にやら床の血までもふき取られている。実に手際のいい裏方である。

342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:55:36.13
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一方通行「おォ、早ェ早ェ」

麦野「あの連中、あんな細っこいのに軽々垣根持ち上げてたわね」

御坂「妹達って意外と力あるのよね」

11111号「元々戦闘用に作られたクローンですから。かわいいだけじゃないんですよ?
とミサカはドヤ顔で妹達のスペックの高さを誇ってみます」ドヤァ

一方通行「オマエは何もしてねェけどな。つーかかわいくはねェよ」

11111号「かわいくないとか言われてますよお姉様」

御坂「ちょっと一方通行!誰がかわいくないですって!?」

一方通行「ノせられてンじゃねェアホ」

麦野「大丈夫よ美琴、あんたはそこの性悪クローンの万倍はかわいいから」ポン

一方通行「マイナスを乗算してもマイナスのままだけどな」

麦野「黙ってろこのモヤシ」

343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:56:02.95
ID:x8JWZkAEo

11111号「さ、雑談はそんなものにして、ていとくん達を追いかけますよ、とミサカは前方を指差します」

御坂「あ、やっぱり追いかけるんだ?」

一方通行「垣根の復活待ちがてら外科の見学ってとこか?」

麦野「垣根が治療受けてるとこでも見せられるんじゃない?」

11111号「ほら急いだ急いだ、早くしないと担架を見失ってしまいますよ、とミサカは三人を急かします」ハリーハリー

11111号の先導の元、一行はストレッチャーで運ばれる垣根の後を追いかける。
既に呼吸停止から結構経っていると思うのだが、果たして大丈夫なのだろうか。
応急手当くらいしてから運んだ方が良かったのでは……

一方通行「ン?」

そのまま正面に見える診察室に運ばれるのかと思いきや、ストレッチャーは途中で廊下を曲がると
迷う事無く一直線に、その先にある大きな銀色の扉へと向かって行った。
扉のサイドには大きな丸っこい文字で『手術室』と書かれている。

344 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:56:29.68
ID:x8JWZkAEo

一方通行「手術室直行かよ……」

麦野「てか手術すんのかよ、今から」

御坂「呼吸止まってたし、即手術しなきゃいけないくらい危なかったんじゃ……」

一方通行「……まァ大丈夫だろ垣根だし」

麦野「垣根だもんねぇ」

御坂「そうよね、垣根さんなら……」

11111号「さてさて流石に手術室の中までは入れませんし、ここで待ってましょうか、
とミサカは近場にあるソファに腰を下ろします」ヨイセ

御坂「手術室前のソファで手術が終わるのを待つって、医療ドラマのワンシーンみたいね」

一方通行「階段ですっ転ンで呼吸止まった馬鹿の手術する医療ドラマなンざありえねェだろォけどな」

麦野「手術ってどんくらい時間かかるわけ?まぁここで何もせずに時間潰せるんなら大歓迎だけどさ」

ソファに腰を下ろす四人の前で垣根を乗せたストレッチャーは躊躇無く手術室の中へと消えて行き、
直後に手術室の扉の上部に備え付けられた『手術中』の表示ランプが赤く点灯した。

345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:56:55.24
ID:x8JWZkAEo

御坂(外傷らしい外傷はなかったけど、どんな手術するんだろ?)

麦野(つか診察なしに即手術とかしていいもんなのかねぇ?)

一方通行(垣根の野郎、手術受けた後ちゃンと復帰すンだろうな……
ここでアイツがリタイアとかになるとこっちの被害が増えちまうぞクソ)

三者三様、『手術中』のランプを眺めながらぼんやりと物思いに耽る。
現状はイレギュラーな事態であるが故に三人を笑わせようとする刺客も姿を見せない。
垣根の犠牲の上に成り立った休息時間を、彼らは存分に噛み締めていた。

やがて、手術室の内側から手術をしていると思しき音が一行の元に届き始める。

手術室<キュイイィィィン………ガリガリガリガリ!ガリッ!!ガンガンガン!バキィ!!
ガキンガキンガキンガキン!!ガンガンガンガン!!チュィィィィィィン!!ギコギコギコ!!

一方通行「うおォォォォい!!!何か板金屋さンみてェな音がしてンですけどォォォォォ!!!」ビクッ

御坂「コフッ」

麦野「ングッ」

デデーン♪

『御坂、麦野、アウトー』

346 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:57:28.10
ID:x8JWZkAEo

御坂「ちょっと一方通行!突然大声出さないでよ!!」

一方通行「悪ィ、ちょっとビビッちまってよォ」

麦野「何で手術室から金属加工するような音が響いてくるんだ!?垣根どうなってんのよ!?」

バチーン!!

御坂「あたああぁぁ!!!」

麦野「んぎゃあぁああ!!」

手術室<ガインガインガイン!!ガンガン!ボン!!キンキンキン!カコン!!

麦野「いやほんと、手術室の中で何が起きてんだ?鉄板ぶっ叩いてるような音がするわよ?」

御坂「あー、ほら……ギプスでも作ってるんじゃない?きっと垣根さん階段から落ちた拍子に骨が折れて……」

一方通行「金属のギプスなンざねェよ。つーか手術室で作るモンじゃねェだろ」

御坂「そうよね……」

347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:57:53.51
ID:x8JWZkAEo

手術室<ガサガサガサ……ガシュガシュガシュ!ズリズリザザザザ!ズササササ……

一方通行「……おいヤスリがけが始まりやがったぞ」

麦野「なるほど、加工も大詰めってわけね」

御坂「加工って……手術でしょ、一応……」

手術室<……

麦野「音がやんだ……?」

御坂「終わった、の……?」

手術室<チーン♪

一方通行「電子レンジ!!?」ビクッ

御坂「ウッ」

麦野「グッ」

デデーン♪

『御坂、麦野、アウトー』

348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:58:21.68
ID:x8JWZkAEo

御坂「一方通行ァァァ!!!あんたオーバーリアクションするのやめなさいよおおお!!!」

麦野「お前がいなけりゃ今のは堪えれるレベルだったってのに……」

一方通行「責任転嫁してンじゃねェよ雑魚どもが」ハンッ

バチーン!!

御坂「あああぁぁぁあ!!」

麦野「ってえええぇぇぇ!!!」

引っ叩かれる御坂と麦野二人の様子を、一方通行は心底楽しそうに目だけで笑いながら眺める。
口元は一切動かしておらず真一文字に結ばれているというのに、今にも嘲笑う声が聞こえてきそうだ。
何とも悪意に満ちた表情である。

一方通行「ハッ、無様だなァ」

御坂「くぅぅ、すっごいムカつくわぁ……」

麦野「おいこいつのこのツラはアウトにならねぇのか?目が笑ってんだろ」

11111号「んー、アウトにしたいのは山々なのですが、口元は緩んでませんし笑い声も出てませんから……
てか目が笑ってるくらいでアウト取ってたら際限なくアウトの範囲が広がってしまいますよ?
とミサカは断腸の思いでこの場は見逃します。アウト取りすぎてもテンポ悪いですし」

349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:58:59.29
ID:x8JWZkAEo

御坂「何だかんだで半笑いとかは結構見逃してもらってるしね……判定シビアにされるのは困るわ」

麦野「……チッ、運が良かったわね」

一方通行「はいはい、どォも」

手術室<……

麦野「……あっちももう音はしないみたいね」

一方通行「静かなモンだな」

御坂「手術終わったのかな?」

先の電子レンジのような音以来手術室から聞こえてくる音は完全に途絶え、辺りは静寂に包まれていた。
とは言え、ここで気を抜けば不意打ちで何が飛んでくるかわかったものではない。
三人は顔を強張らせながら、じっと手術室の扉を注視する。

が、そんな三人の心配を他所に、それ以降何も起こらぬまま『手術中』の表示ランプは消え
手術室の扉が内側から押し開かれた。どうやら本当に手術は終了したようだ。

「やぁ待たせてしまったようだね?だけどもう彼は大丈夫だよ、何も心配はいらない」

手術室から姿を現した蛙のような顔をした医者―冥土帰しは、マスクを外しつつ、
開口一番微笑みを湛えながら手術の成功を一行に伝える。
あの音でいったいどんな手術を行ったのかはともかくとして、とりあえず垣根は大丈夫らしい。

350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2012/02/29(水) 19:59:32.06
ID:x8JWZkAEo

11111号「こんな短時間で手術を終わらせるとは、流石学園都市を代表する名医ですね、
とミサカはカエル顔の医者の禿頭をぺちぺち叩きながら褒めちぎります」ペチペチ

冥土帰し「――僕を誰だと思っている?」キリッ

デデーン♪

『一方通行、アウトー』

一方通行「頭叩かれながらかっこつけてンじ