- 公開日 :
- 2012年04月30日 12時06分
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- とある魔術の禁書目録
2 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/01/28(土) 18:05:16.99 ID:MBMzVLU9o
【登場人物紹介・『天使同盟(アライアンス)』の構成員】
【一方通行(アクセラレータ)】
このSSの主人公。学園都市最強、超能力者(レベル5)第一位の『一方通行』の能力を持つ白髪の少年。
第三次世界大戦を経て大天使ミーシャ=クロイツェフに好意を抱かれてしまった哀れで幸せな男。
『第一九学区事件』後、ひょんな事から垣根帝督と衝突してしまうが、その事もあって一方通行は
他人(特に異性)との交流について真剣に考えるようになる。現在はフラグを立てた女性陣と真剣に
向き合い、自分という存在と方向を確立しようと奮闘している。
【ミーシャ=クロイツェフ】
『神の力(ガブリエル)』。本作のヒロインにして『天使同盟』の顔。水を司る本物の大天使。
第三次世界大戦で意思疎通をした一方通行に好意をよせ、以後は彼と共に人間界で生活する。
『第一九学区事件』で周囲の仲間達に救ってもらった後も学園都市に居座り自由奔放に暮らす。
現在、フィアンマと打ち止めを巻き込んで一方通行に贈る『サプライズ』を進行している。
【風斬氷華(ヒューズ=カザキリ)】
『天使同盟』に咲き誇る一輪の花。『天使同盟』内でも比較的常識を持ち合わせている健気な女の子。
油断をするとつい風斬がヒロインなのではないかと勘違いしてしまうほどヒロインをしている、はず。
『第一九学区事件』も好意を寄せる一方通行相手になかなか積極的になれずにいるが、健気に彼を
遠くから見守っている。風斬氷華専用ルートが蛇足にて確定した。
3 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/01/28(土) 18:05:43.62 ID:MBMzVLU9o
【エイワス】
このままではエイワスの命が危ない! みんなの応援が、彼(彼女)に勇気を与えるぞ!
【垣根帝督】
学園都市第二位の超能力者(レベル5)、『未元物質(ダークマター)』の能力を持つ少年。
『第一九学区事件』で脳をひどく損傷し、能力と魔術が使用出来なくなってしまった。
ひょんな事から一方通行と衝突してしまい、彼は一時的に『天使同盟』から離脱した。
現在はドレスの少女と共に過去に訪れた魔術サイドの地へ足を運び、能力と魔術を
取り戻す修行に専念している。一方通行同様、異性との向き合い方がわからないでいる。
【フィアンマ】
『天使同盟』最後の構成員。ローマ正教『神の右席』のリーダーを務めていた最上級魔術師。
様々な経緯を辿った末、『天使同盟』唯一の魔術師として加盟する事になった。
組織内でも比較的常識人ではあるが、それでもたまに意味不明のボケに走ってしまったりする。
現在はミーシャと打ち止めの協力を受けながら、とある『計画』を進行中なのだが…………。
4 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/01/28(土) 18:06:10.99 ID:MBMzVLU9o
【閲覧可能エンドルート一覧】
・【風斬氷華育成計画 -AIM Simulation-】
・【兎追いしかの街 -Wonder land-】
・【闇喰らわぬもの祈るべからず -Saint-】
・【???】
・【???】
・【第一位と第二位の垣根を越えて -Identity-】
・【???】
・【???】
9 : ◆3dKAx7itpI [sage]:2012/01/28(土) 18:50:22.70 ID:MBMzVLU9o
前スレ、埋まりました。ほんとうにありがとうございます。
で、このスレなんですが……すみません、タイトルが文字化けを起こしております。
正しくは『蛇足 とあるフラグの天使同盟 七匹目』なのですが、『七』の大字が
文字化けを起こしたようで……。今まで大丈夫だったのに、何だよちくしょう……。
ですので、このスレは蛇足七つ目のスレとなります。皆様、よろしくお願いします。
以下、新スレでお話無しは寂しいのでさっき適当に書いた小ネタをsageで投下します……。
10 : ◆3dKAx7itpI [sage]:2012/01/28(土) 18:51:01.66 ID:MBMzVLU9o
――【フィアンマ】
垣根「『天使同盟(アライアンス)』の新参者」
フィアンマ「立場的に言えば俺様は一番の下っ端ということになるな」
エイワス「一番の下っ端という言葉もおかしいと言えばおかしいが」
ガブリエル「xybi頼airf」
風斬「でもフィアンマさんが下っ端って……何だか少し違和感ありますよね」
フィアンマ「と、言うと」
11 : ◆3dKAx7itpI [sage saga]:2012/01/28(土) 18:51:37.96 ID:MBMzVLU9o
風斬「フィアンマさんって……『神の右席』のリーダーだったんですよね?」
一方通行「黒歴史だな」
フィアンマ「暗部なだけにな」
垣根「そのリーダーが今となっては落ちぶれたもんだよな」
フィアンマ「何故だかは俺様にもわからんが、お前にだけは言われたくない」
一方通行「つか俺達の間に下っ端もクソもねェだろォよ」
エイワス「左様だな。 我々は、何時如何なる場合も心身を共にする同士だろう」
垣根「ない」
一方通行「それはない」
12 : ◆3dKAx7itpI [sage saga]:2012/01/28(土) 18:52:17.19 ID:MBMzVLU9o
フィアンマ「もう俺様に立場を言及する資格などないよ」
垣根「俺様(笑)」
一方通行「今時そンな一人称使ってるヤツもいねェよなァ」
フィアンマ「……『フィアンマ』として振る舞うのなら俺様で通す他ないんだが」
垣根「自分で言ってて恥ずかしくねえの?」
エイワス「出ました、新人いびり」
フィアンマ「俺様の何が悪い。 別にお前らに迷惑かけてないだろ」
垣根「溢れ出る小物臭」
一方通行「それもオマエには言われたくねェだろォな」
13 : ◆3dKAx7itpI [sage saga]:2012/01/28(土) 18:53:03.47 ID:MBMzVLU9o
ガブリエル「ngjc意地悪guy禁止cip」ゴツン
垣根「わかったから殴るのをやめろ……首の骨がズレた……」
フィアンマ「ふん。 まぁ、お前らが俺様をどう思おうと勝手だが」
風斬「でも私……頼りにしてますから、フィアンマさんのこと」
ガブリエル「xhye同意pvdgt」
フィアンマ「…………何に対してどう期待しているのかは知らんが……」
エイワス「照れる事はないだろう」
フィアンマ「照れてなどおらん」
14 : ◆3dKAx7itpI [sage saga]:2012/01/28(土) 18:53:44.41 ID:MBMzVLU9o
――【垣根帝督】
一方通行「死ね」
フィアンマ「そもそもお前、一度死んだんだろう?」
垣根「何の因果か、こうして生き返ったけどな」
エイワス「その点に関しては訂正を加えなければならんだろう。
彼は死んでなどいなかったのだよ、学園都市的には」
風斬「怖い話ですけど……脳さえあれば死者として扱わないっていう……」
エイワス「脳に開発を施す学園都市ならではの、死の定義だな」
15 : ◆3dKAx7itpI [sage saga]:2012/01/28(土) 18:54:19.45 ID:MBMzVLU9o
ガブリエル「qqtud開帳spdso」
垣根「やめろテメェ! 頭を割ろうとすんじゃねえ」
フィアンマ「そして死亡フラグに定評のある男、か」
風斬「私個人の意見なんですが……別に垣根さん、そんなに立ててないですよね?」
エイワス「立てても悉く回避している傾向にあるな」
垣根「回避しねえと死ぬだろうが」
ガブリエル「ycnr素敵xnvb」
風斬「たくましいですよね……」
16 : ◆3dKAx7itpI [sage saga]:2012/01/28(土) 18:54:48.85 ID:MBMzVLU9o
垣根「お、好感度上がった?」
風斬「そうですね……もう少し好感度が上がれば、グラフのバーが下から顔を出すかも……」
垣根「お前俺の事どんだけ嫌いなんだよ!?」
フィアンマ「ムードメーカー的なイメージがあるな、組織内の」
垣根「暗部の頃はこんな感じじゃなかったんだけどな」
エイワス「良き傾向と捉えて構わないだろう。 これが垣根帝督の正体なのだよ」
垣根「ちっ……。 ま、俺、お前ら大好きだからな。 白髪のクズ以外は」
一方通行「死ね」
17 : ◆3dKAx7itpI [sage saga]:2012/01/28(土) 18:55:17.00 ID:MBMzVLU9o
おしまい。
大変失礼しました。ではまた、三日以内に。
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) [sage]:2012/01/28(土) 18:57:25.12
ID:DWQDDaV90
再度>>1乙!!
一方さん垣根に対して[ピーーー]しか言ってねぇww
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県) [sage]:2012/01/28(土) 20:40:44.00
ID:uRo0zmf40
乙
なんかケータリングカーとかで遊んでた頃を思い出したわ
36 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/01/30(月) 09:52:14.62 ID:5bYIzcmbo
――――――――――――――――――――――
ルチアは絶体絶命の危機に陥っていた。
黒の修道服で身を包んだ彼女は現在、ランベスの人気のない路地で
息を潜めている。人一人がやっと通れるような汚い路地から時折顔を
覗かせては大通りの路地の様子を確認する。
そもそも彼女がいる大通りは、人気のない場所ではなかった。
朝から商店の開店準備のためにこの道を通る住人や、学校へ向かう
学生などが頻繁に利用する通路なのだが、不思議な事にさっきから
人っ子一人通りかかる事はない。
37 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/01/30(月) 09:53:16.38 ID:5bYIzcmbo
だがそれは、ルチアにとっては不思議な事でも何でもなかった。
簡単な話。"連中"は人払いのルーンを使って人間を大通り周辺に
近づけないよう手を打っているだけであり、ルチアもそれに気付いている。
ならばルーンの札を剥がせばいいのだが、そう簡単に見つかるような場所に
"連中"が札を貼ってくれている訳がなかった。
結論を言うと、ルチアは追われていた。
昨今、魔術サイドで狂信的な志を振り撒く、『暴徒』と呼ばれる連中に。
(まったく……想像以上の連中ですね。 まだ心にいくらかの余裕が
残っていると判断した私がバカでしたか。 まさかあれ程までに
『天使同盟(アライアンス)』に心酔しているとは……。 念のため、
車輪を持ち運んでおいて正解でしたね。 問題はどう切り抜けるか)
38 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/01/30(月) 09:54:14.85 ID:5bYIzcmbo
額の汗を拭い、ルチアは手に構える『車輪』を強く握り直す。
彼女が使用する魔術は聖カテリナの『車輪伝説』をモチーフにしたもので、
車輪を爆散させ、その破片で敵を攻撃するという仕組みの魔術なのだが。
(二対一では……、いえ、多人数相手でも対応出来るのが『車輪』の術式。
しかし相手の技量は私より遥かに上……。 拮抗するならまだしも、
これでは次に相対したら一気に畳み掛けられてしまう…………)
ルチアが『暴徒』の存在を知ったのは、オルソラ=アクィナスとアンジェレネが
勝手に寮を抜けだしてどこかへ行った事実が発覚し、彼女が激怒した後だった。
アニェーゼやシェリーに手を借り、オルソラとアンジェレネの行方を調べていく内に
『天使同盟』の存在を歪んだ方向で狂信する『暴徒』の情報を入手したのだ。
そして今日の早朝、ルチアが朝の散歩に出掛けている時に、彼女は偶然目撃した。
平和な街で見かける事はまずない、やたらボロボロになったコートを着た二人の男。
男達の会話が耳に入り、ルチアは思わず声をかけてしまった。
39 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/01/30(月) 09:55:36.17 ID:5bYIzcmbo
『「天使同盟」……。 つかぬ事をお聞きしますが、あなた達が例の―――』
それだけだった。迂闊だった。所々が破けたコートを着た不審な男二人組に、
『あなた達は「暴徒」の一味なのか』と出し抜けに尋ねるルチアもルチアだが、
無理もない。明らかに様子のおかしい二人組が『天使同盟』の名を口にすれば、
本物の『天使同盟』を知っているルチアに対し声をかけるなという方が酷だ。
そして『暴徒』かどうかの有無を尋ね、二人組が魔術サイドに関わっていない
一般人なら首を傾げるだろうし、『暴徒』の淘汰に勤しむ魔術結社の魔術師なら
『我々も暴徒の連中に手を焼いている。 この身なりも先ほど暴徒によって――』
等と言って事情を説明してくれるだろう。少なくとも、ルチアはそう判断して声をかけた。
二人組の男は、ルチアに対して言葉ではなく害意のこもった『魔術』で応じた。
40 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/01/30(月) 09:56:33.18 ID:5bYIzcmbo
ルチアは咄嗟に相手の攻撃をかわす。背後で大きな爆発が発生した。
そしてルチアは悟った。こいつらが例の『暴徒』であると。
そこから先は追って追われての戦闘が始まり、自分と相手の力量の差を
正確に計ったルチアは現在、細い路地に身を隠しているという訳だ。
(シスター・アニェーゼ達が敵の存在に気付いていれば……。 気付いて
いなくとも私がどうにかこの状況を切り抜け、寮に戻って事情を説明
すれば……。 いえ、駄目ですね。 彼女達をこんなくだらない事に
巻き込む訳にはいきません。 私が、一人でどうにかしないと……)
路地から顔を出し、大通りの様子を確認する。
暴徒の二人の姿はない。人の気配すらない。遠くから車が何台も走る
走行音が聞こえる。まるでここら一帯だけ、その日常から切り離された
かのような錯覚に陥る。
41 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/01/30(月) 09:57:02.94 ID:5bYIzcmbo
(とりあえず場所を変えますか)
最大限の警戒網を張り巡らせながら、ルチアはゆっくりと路地から大通りへ踏み出そうとする。
「示すは『左方』。 司るは『緑』。 『アルマデル』の声に呼応するは、万物を天に誘う『風』」
にも関わらず、その詠唱が鼓膜を揺さぶるまでルチアは気付くことが出来なかった。
ルチアが潜んでいた細い路地を作り出す両端の建造物。その内一つの屋上に暴徒の
魔術師が潜んでいた事に。
42 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/01/30(月) 09:57:56.53 ID:5bYIzcmbo
「――――――ッッ!!」
相手の姿を確認する事もせず、ルチアは地面に飛び込むように跳躍する。
直後、さっきまでルチアが居た位置に局地的な暴風が発生した。
暴風は地面をドリルのように抉り、両端にあった建物の壁をクッキーのように粉砕してしまう。
この風に巻き込まれていればルチアの肉体はズタズタに引き裂かれてしまっていただろう。
しかしそこで安堵の息を吐く事は叶わなかった。
「示すは『右方』。 司るは『赤』。 『アルマデル』の声に呼応するは、焦熱地獄を産みし『炎』」
ルチアが飛び出した大通り。先程まで誰もいなかったはずの大通りの前方には、
片手に分厚い書物、片手に赤い蝋を固めて作った奇妙な像を携えたもう一人の暴徒の姿があった。
蝋で出来た像が真っ赤に輝く。瞬間、ルチア目掛けて蝋から巨大な火球が射出された。
43 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/01/30(月) 09:59:11.92 ID:5bYIzcmbo
ルチアは慌てて車輪を前面に構えガードの体勢に移る。火球は車輪に直撃し、
爆散して、ガードしていたはずのルチアごと吹き飛ばしてしまった。
「う、ぐ……ッ!!」
凶悪な熱風を浴びながらルチアは地面に転がる。たった一撃でボロボロに
なった彼女の姿を赤い蝋を持った男は冷めた目で眺めていた。
建物の屋上から、緑の蝋を持った男がふわりとした動作で飛び降りてくる。
(まるで歯が立たない……、このままでは……)
この二人に声をかけるという行為は、迂闊だったとは思う。しかし後悔はしていなかった。
わずかでも自分達の行動の障害になり得る人間を見つけたらこのように危害を加えてくる
魔術師を放置しておくわけにはいかないとルチアは思った。
44 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/01/30(月) 09:59:39.15 ID:5bYIzcmbo
『暴徒』が何人いるのかも分からない。全貌など、イギリス清教の単なるシスターである
ルチアには掴めるはずもない。太刀打ちだって出来ないかも知れない。現に彼女はこうして
手も足も出ず一方的にされるがままなのだから。
「示すは『左方』。 司るは『緑』――――――」
(くっ…………!!)
しかしルチアは退かない。ここに味方がいない以上、味方を巻き込むまいと
誓った以上、ここで自分が引き下がる訳にはいかない。
そんな彼女の想いを踏みにじるように、男は呪文を紡いだ。
45 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/01/30(月) 10:00:47.85 ID:5bYIzcmbo
「『アルマデル』の声に呼応するは、偽典を裁く『刃』―――」
「おーおー、朝から派手にやってんなぁ。 さすがは魔術の本場イギリスってか」
突如として介入してきた声に、ルチアは一瞬戦慄した。
ただでさえ防戦一方なこの状況に、さらに暴徒の連中が増援に来たのかと思ったからだ。
しかしその考えは見当違いだという事に気付かされる。
緑の蝋を構えた男が、術式発動直前で詠唱を停止した。怪訝そうに眉をひそめながら
背後へ振り返る。赤の蝋を持った男も同様に声のした方へ首を回した。
「あ……」
46 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/01/30(月) 10:01:31.05 ID:5bYIzcmbo
「んん? これって、アレか? ピンチになったヒロインの下に
颯爽と駆けつけるヒーローの図? そういうのガラじゃねえんだけどな」
場の雰囲気とは裏腹に男の声は陽気そのものだった。
男もこの状況と張り詰めた空気をひしひしと感じているはずなのだが、まるで動じない。
そしてルチアは目を剥いた。
「垣根……帝督、ですか……?」
「よぉ、遊びに来てやったぜ。 ルチア」
自分を襲っている二人の男が心酔する組織、『天使同盟』。
その構成員である垣根帝督がイギリスに再びやって来た現実を、
ルチアは素直に受け入れる事が出来なかった。
47 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/01/30(月) 10:02:40.81 ID:5bYIzcmbo
――――――――――――――――――――――
「何者だ」
「相手の名前を尋ねるならまずはテメェから自己紹介しろよ」
垣根帝督はとくに身構える様子も見せず、ゆっくりとルチアと二人組の
方へ歩いていく。その表情に困惑や緊張は一切見られず、彼は余裕の笑みを
浮かべながら続けてこう言った。
「で、こんな朝っぱらから何やってんだ? ナンパにしちゃ手が込んでるが」
「……貴様には関係の無い事だ。 怪我をしたくなければ立ち去れ」
「そいつ、俺のオンナなんだけど」
48 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/01/30(月) 10:03:24.41 ID:5bYIzcmbo
へ……? とルチアは思わず間抜けな声を出してしまったが、
二人の魔術師はどうやら気付いていないようで、
「理解出来たか? 俺のオンナがちょっかい出されてる以上、
俺も無関係じゃねえんだよな。 おら、さっさと消えろよ」
「この修道女の関係者という事は、貴様も魔術師なのだな」
「現在は休業中だがな。 活動再開の目処はついてるんだが……」
「どうやってここへ来た」
「これ、人払いのルーンだろ? この大通りの入り口付近にある商店の
壁にさりげなく貼ってあったぜ。 最初の一枚を見つける事が出来りゃあ
あとはトントン拍子ってな。 悪いが、ルーンの札に関しちゃそれなりの
知識があるんだよ」
「ま、待ってください!」
49 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/01/30(月) 10:04:22.56 ID:5bYIzcmbo
地面に伏しているルチアが叫んだ。頭の中が混乱に陥りグチャグチャに
なっているためか、その先の言葉がなかなか紡げない。
なぜイギリスに垣根帝督がいるのか。なぜ急に自分を『俺の女』などという
ふざけた位置付けで呼ぶのか。言いたい事は色々とある。
だが今はそんな事を言及している暇はない。どうにかして取り繕わないと敵の二人と
垣根が衝突してしまう。それを危惧したルチアは、
「あの御方と私は無関係です。 いくらあなた達でも、一般人を巻き込む
事で得られるメリットはないでしょう。 ですから彼は見逃して―――」
「手遅れだぜルチア。 まず最初の時点で俺はお前の名前を呼んじまってるし、」
傷つきながら、それでも自分を庇おうとするルチアの痛々しい姿を見ていた
垣根の顔から、ふと表情が消えた。明らかな雰囲気の変化に男はすかさず警戒する。
だが敵意を向ける二人を意に介さず、垣根は声を低くして言い放った。
50 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/01/30(月) 10:06:24.60 ID:5bYIzcmbo
「今のルチアの言葉で理解した。 ……テメェらが例の『暴徒』だな?
ルチアをこんなにしちまった以上見逃せねえんで―――ま、覚悟しとけよ」
直後、垣根の全身から溢れたのは明確な『殺意』。たかが少年一人が出せるような
敵意ではない事に気付いた男達は攻撃対象を垣根帝督に変更し、臨戦態勢に移った。
「垣根帝督……!!」
「すぐ終わらせる。 お前はそこで俺に振る舞う朝メシの献立でも考えとけ」
51 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/01/30(月) 10:07:24.68 ID:5bYIzcmbo
垣根の軽口にルチアが反論しようとしたが、二人の内の赤い蝋を持った
男が一気に垣根の下へ駆け寄った事で断ち切られてしまった。
魔術師の男は赤い天使を象ったような像を構えながら距離を詰めていく。
「何だそれ、大人のオモチャ?」
「詠唱破棄。 灰になれ背信者」
「あ、そう」
灼熱の炎を吹き出さんと赤い蝋が不気味に輝く。
だが炎が出現する直前に、垣根は右足を思い切り振り上げて蝋を持っている方の
男の手を蹴り、赤い蝋を空中へ弾き飛ばしてしまった。
52 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/01/30(月) 10:08:20.66 ID:5bYIzcmbo
「な、」
「遅えよ豚。 アレイスターの攻撃は今の数億倍は早かったぜ」
垣根はそのまま左足に重心を置き、不安定な格好で男に右ストレートをぶち込む。
ベキリ、という鼻っ柱がへし折れる音と共に男が地面に叩きつけられた。
と同時に、垣根の耳に呟くような詠唱の声が届く。
「示すは『左方』。 司るは『緑』―――」
「ハッ、来いよ」
今の垣根の位置ならギリギリの所で緑の蝋を構えた男の詠唱を食い止める事が
できるが、彼はそうしなかった。
そうしなかった行為に挑発の意味合いもあったが、それ以上にこれから
男がどのような魔術を繰り出してくるのか、垣根は単純に興味があったのだ。
53 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/01/30(月) 10:09:07.66 ID:5bYIzcmbo
そして垣根の希望通り、男は術式を発動させる。
「『アルマデル』の声に呼応するは、万物を天へ誘う『風』」
詠唱終了と同時、垣根の足元から恐るべき威力の暴風が舞い上がった。
暴風は瞬間的に膨れ上がり、垣根を包んでそれこそ本当に天へ昇っていく。
その光景を目にしたルチアの顔が真っ青に染まるが、
「ナメてんのかテメェ」
荒れ狂う暴風の中から、ハッキリとそんな言葉が聞こえた。
それがこの風の中で平然としている垣根帝督の声だと認識した時には、
垣根を中心に起きた正体不明の大爆発によって風が霧散していた。
54 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/01/30(月) 10:09:53.33 ID:5bYIzcmbo
「風鈴でも持ってりゃ風情が出てたかもなぁ、今は冬だけどよ。
風と言えば俺の知り合いにとんでもねえ風のスペシャリストがいるぜ。
ん? あの女は風じゃなくて氷だっけ? ……よく知らねえや」
垣根が適当に言葉を紡いでいるが、緑の蝋を持った男は聞いていなかった。
先ほど垣根が起こした爆発に巻き込まれ、数メートル先まで吹っ飛んでいたからだ。
爆発によって地面を転がった男の全身から力が抜ける。
「『未元物質』……、雑魚を撃退する程度の力は戻ってきてるな。
ただそれでも翼は出せねえし、魔力精製に繋がる手掛かりも
浮かんでこねえ。 ……もう少しリハビリが必要か、面倒くせえな」
あっという間の攻防だった。ルチアがあれだけ苦労した魔術師の二人を、
垣根帝督はあっさりと一蹴してしまった。
防御術式を施していたのか、垣根に鼻をへし折られた魔術師が呻くように言う。
55 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/01/30(月) 10:10:40.93 ID:5bYIzcmbo
「貴、様…………、何者……」
「お前らが狂信してる大天使様に聞いてこいよ」
言って、垣根は男の顔を思い切り踏みつけた。今度こそ男の意識が断絶される。
二人の魔術師が使う魔術が期待外れだったのか、垣根はつまらなそうにため息をついて、
「…………どうせ居るんだろ? このクソ二人を回収しろ」
「承知」
音源不明の声が垣根の指示に応えたと思ったら、大通りの随所から
黒いローブを羽織った謎の人物が三、四人程集まってきた。
フードの部分に黄金の鷹の頭をあしらったローブを着る謎の人物達は
互いに言葉を交わすことなくダウンした暴徒の二人を回収していく。
その光景にルチアは疑問符を浮かべるが、彼女がその正体を推察する前に
黒ローブ達は音もなく大通りから消えてしまった。
56 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/01/30(月) 10:11:20.41 ID:5bYIzcmbo
「立てるか?」
「え。 あ、はい…………」
手を差し伸べてきた垣根に、ルチアは動揺しながらも応える。
垣根の手を取ってゆっくりと立ち上がり、破壊された車輪を再生させた。
「あ、あの……垣根帝督……」
「あーはいはい。 どうせ『なぜあなたがこんな所にいるのですか!』とか
さっきのヤツらの事でギャーギャー言ってくるんだろ。 だがその前に
メシにしようぜ。 俺朝から何も食ってねえからよ、何か作ってくれ」
「は、はぁ…………」
垣根に先を越されてしまい、何も言えなくなったルチアは辿々しく返事をするしかなかった。
57 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/01/30(月) 10:16:29.16 ID:5bYIzcmbo
今回はここまでです。
今回登場した『アルマデル』は、何でも四属性の天使を召喚する霊装なんだとか。よく覚えてませんけど。
天使召喚については私が勝手にアレンジして、ただ四属性の魔術が使えるってだけの代物にしました。
あと今回の垣根はちょっとやりすぎとういうか、強すぎた感がありますよね……。
ただ彼の久々の見せ場なので、見逃していただければありがたいです。
次回は久々に再会した垣根とルチアの漫才をお送りします。
58 :次回予告はここまでです。 ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/01/30(月) 10:17:04.47
ID:5bYIzcmbo
【次回予告】
「幾千の欲を切り捨て、節制を心がけ、規律と信仰を重んじる事が
我々シスターの役割です。 勝手に寮を抜け出してどこかへ出掛けて
しかも連絡を寄越さず帰る気配の無いあの二人とは違うんです」
元ローマ正教のシスター――――――ルチア
「知ってるか? そうやって自分を縛ってる人間ほど、案外エロい話に
興味を持つ傾向があるんだぜ。 欲とは無縁とかのたまってるヤツとか」
『天使同盟(アライアンス)』の構成員・学園都市第二位の超能力者(レベル5)『未元物質(ダークマター)』――――――垣根帝督
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/01/30(月) 10:39:58.18 ID:jMx7i1Dfo
次回は天使同盟初のエロと聞いて飛んできまおつ
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海) [sage]:2012/01/30(月) 10:57:28.85
ID:tFDaZ4eAO
おつおつ
今までの相手が世界最強クラスしかいなかっただけで、ていとくんもやはり最強クラス
というか能力不調とはいえこんな名も無き雑魚に苦戦したらワシリーサに殺されるレベル
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方) [sage]:2012/01/30(月) 11:34:41.50
ID:l99OYOV70
乙 エロ期待
小ネタとか眠らせずに投下しちゃってもいいんだよ? (チラッ
81 :◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/02(木) 10:46:40.64 ID:71S8SZs9o
――――――――――――――――――――――
――イギリス・ロンドン ランベスの大通り
垣根「何だ? 急に人が通るようになったな」
ルチア「あなたが人払いの術式を解除したからです」
垣根「ああ、そういやそうだった」
ルチア「……」
垣根「いやそれにしても、久しぶりだなお前」
ルチア「……お久しぶりです」
82 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/02(木) 10:47:29.51 ID:71S8SZs9o
垣根「怪我とかしてねえだろうな? さっきのクソ共と戦ってたんだろ」
ルチア「大した事はありません」
垣根「そりゃ重畳」
ルチア「……それで、垣根帝督」
垣根「あ?」
ルチア「学園都市に居るはずのあなたが何故イギリスに?」
垣根「さっき言っただろ、遊びに来たって」
ルチア「まさか大天使様の身にまた何か……?」
垣根「そんなんじゃねえよ、あのアホ天使は今も元気にやってんじゃねえか?
『天使同盟』の近況報告は寮に着いたらたっぷり話してやるからよ」
83 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/02(木) 10:48:37.05 ID:71S8SZs9o
ルチア「そう、ですか」
垣根「しっかしさっきの連中が暴徒ねえ……。 思ってたより雑魚でガッカリだな」
ルチア「あ。 か、垣根帝督」
垣根「なんだ?」
ルチア「先ほどは……その。 助けていただいて……あ、ありがとう……ございました」
垣根「飛び回ってたハエを払っただけだ、礼を言われる程の事じゃねえ」
ルチア「あなたが来てくれなかったらどうなってたか……」
垣根「何だよ、もしかして惚れちゃった?」
ルチア「ば、馬鹿な事を出し抜けに言わないでください!///」
84 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/02(木) 10:49:20.27 ID:71S8SZs9o
垣根「冗談に決まってんだろ、相変わらずだなお前」
ルチア「そういうあなたも、剽軽な人柄は相変わらずですね」ムスッ
垣根「怒ってんなよ、いちいち細けぇなぁ」
ルチア「……」
垣根「あの寮、まだシスター共が利用してんのか?」
ルチア「へ? ええ、まぁ一応……」
垣根「ふうん。 ……ああ、て事は男は俺一人か。 居づれぇな」
ルチア「何ですかそれは、何かふしだらな考えを起こしているんじゃないですよね」
垣根「お前はそのテの話に警戒しすぎだよなぁ」
85 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/02(木) 10:50:16.98 ID:71S8SZs9o
ルチア「幾千の欲を切り捨て、節制を心がけ、規律と信仰を重んじる事が
我々シスターの役割です。 勝手に寮を抜け出してどこかへ出掛けて
しかも連絡を寄越さず帰る気配の無いあの二人とは違うんです」
垣根「知ってるか? そうやって自分を縛ってる人間ほど、案外エロい話に
興味を持つ傾向があるんだぜ。 欲とは無縁とかのたまってるヤツとか」
ルチア「な!?」
垣根「学校のクラスに居なかったかそういうの? あ、お前は学校とか
行ってないのか? 俺も通ってねえけど。 でもまぁ、いるんだよ」
ルチア「ど、どういう意味ですか。 詳細な説明を要求します」
垣根「クラスの男子がエロい話してる中、一人だけ『そういうの興味ねえから』とか
言って紳士ぶるヤツとかいるじゃん。 そういうヤツほど裏じゃ成人雑誌片手に
興奮してたりするんだぜ? その他よりよっぽど知識が豊富だったりな」
86 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/02(木) 10:51:18.76 ID:71S8SZs9o
ルチア「な、な……///」
垣根「逆もまた然りでな。 男より女の方がエロ知識が豊富だったりするだろ。
そういう話をしてる男共を女達は蔑むが、本当はその女達の方がエロい
話で盛り上がってたりするもんだ。 お前んとこの寮でもそういう話――」
ルチア「し、してませんッ!! い、いいですか? あなたさっきから
スラスラとエロいとか成人雑誌とか口にしてますけど、女性である
私の前でそのような如何わしい話題を出すなんて、正気とは思えません!!」ウガー
垣根「仕方ねえだろ、俺男だし。 格ゲーで女キャラ使っただけで馬鹿にしてくる
ヤツとかたまにいるよな。 あれ何でだ? 男だからこそ女キャラを使うんだろ」
ルチア「知りませんよそんな事!」
垣根「あれ、シスターってゲーセンで息抜きしたりしねえの?」
87 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/02(木) 10:52:45.07 ID:71S8SZs9o
ルチア「あり得ません。 節制に重きを置く修道女が、その……ゲーセン、ですか?
そのような場所で遊ぶなど以ての外です。 ゲーセンという娯楽自体を
全否定する気はありませんが、修道女ならば無縁であるべきだと考えます」
垣根「いいじゃん、シスターがゲーセンで遊んだって。 オルソラとかアンジェレネとか、
平気でゲーセン行ってるイメージあるけどなぁ、しかも超楽しんでる感じ」
ルチア「あの二人は確かに修道女としての何かが欠落している雰囲気がありますが、
それでも弁別はきちんとしているはずです。 それは流石にないかと」
垣根「前に俺らが来た時、ミーシャに煽られて酒飲みまくって潰れたお前が
節制だの規律の修道女の何たるかを語られても説得力に欠けるなぁ」ニヤニヤ
ルチア「……ッ/// だ、大天使様は我ら十字教徒を導いてくださる高貴のなる御方です。
大天使様が酒を飲めと仰られたら酒を飲むのが十字教徒にとって正しい行いなのです」
垣根「さすがにそれは十字教を軽んじ過ぎちゃいねえか……? とりあえずお前はやっぱ姑タイプの女だな」
88 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/02(木) 10:54:13.72 ID:71S8SZs9o
ルチア「姑言うな!」
心理定規「あ、いたいた。 垣根帝督~」タッタッ
ルチア「?」クルッ
垣根「チッ……」
心理定規「あからさまに舌打ちしないでよ、傷つくでしょ」
垣根「このまま放置していこうと思ってたんだがな」
心理定規「そんな事したら私、『天使同盟』に関する情報全部リークするから♪」
ルチア「? あの、この御方は……」
89 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/02(木) 10:55:02.11 ID:71S8SZs9o
心理定規「お、シスターだ。 あの変態女とは違って黒い修道服なのね」
垣根「あー、俺の連れだ」
心理定規「『荷物』から『連れ』に昇格か、光栄ね」
ルチア「連れ……?」
垣根「よくここがわかったな」
心理定規「あなたの背中に小型の発信機を付けておいたからね」
垣根「ああ!? ……クソッ、これか」ポイッ
心理定規「こんな物にも気付けないなんて、本当に丸くなったわね」
垣根「くだらねえ事してんじゃねえよクソ女」
ルチア「あの……」
垣根「そうだ、この女も一緒に連れていきてえんだけど、いいか?」
ルチア「え?」
90 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/02(木) 10:55:53.99 ID:71S8SZs9o
心理定規「ちょっと、断られたらどうすんのよ」
垣根「そりゃお前……捨て置くしかねえだろ」
心理定規「あなたって垣根帝督の知り合い? この男、こんなヤツなのよ?
こんなのより私を傍に置いた方が楽しいと思うけど、どう?」
垣根「目くそ鼻くそだな」
ルチア「…………」ジー
心理定規「(はい来ました、明らかな警戒の眼差し。 何とかフォローしてよ)」ヒソヒソ
垣根「余計な事はしないよう見張るから、許可してやってくんねえか」
ルチア「……まぁ、あなたがそう言うのでしたら……、……」ブツブツ
心理定規「あら、ずいぶんとこのシスターさんに信頼されてるのね」
ルチア「あ、いや別に私は……」
垣根「どうでもいい。 さっさと行こうぜ」
91 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/02(木) 10:57:02.24 ID:71S8SZs9o
――――――――――――――――――――――
――イギリス・ロンドン 『必要悪の教会(ネセサリウス)』の女子寮
ルチア「ただいま戻りました」ガチャ
アニェーゼ「おや、お帰りなさい。 そろそろ朝ご飯にしちまおうと思ってたんですよ」
シェリー「くぁ……眠い」ポケー
ルチア「おや、珍しく朝から起きていらっしゃるのですね」
シェリー「昨日は特に何にもしなかったからな」
92 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/02(木) 10:57:53.97 ID:71S8SZs9o
アニェーゼ「今日の朝食担当はシスター・ルチアですよ」
ルチア「わかっています。 が、その前に……」
シェリー「?」
ルチア「はい皆様、ご拝聴ください」
「?」
「はい、シスター・ルチア」
「なんでしょうか?」
アニェーゼ「何ですか突然。 一体何が始まるんです?」
ルチア「今日はお客様がお越しになっています」
93 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/02(木) 10:58:31.63 ID:71S8SZs9o
シェリー「客?」
ルチア「『天使同盟』の方です」
アニェーゼ「あ、『天使同盟』!? 何でまた!?」ガタッ
シェリー「まさか例の『暴徒』についての情報を聞きにきたとかかしら?」ガタッ
ザワ…… ザワザワ…… ドヨドヨ…………
ルチア「…………。 では、どうぞ。 お入り下さい」
アニェーゼ「またあの時みたいにどんちゃん騒ぎが出来ちまうんですかね!?」ワクワク
シェリー「色々聞きたい話もあるしなぁ、眠気飛んだわよ」
94 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/02(木) 10:59:25.55 ID:71S8SZs9o
垣根「うーっす、久々だなぁお前ら!」
アニェーゼ「……………………………………………………」
シェリー「……………………………………………………」
シーン…………
垣根「あれ」
ルチア「今日は垣根帝督が遊びに来てくれました。 皆様、どうか丁重なおもてなしを―――」
95 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/02(木) 11:00:06.70 ID:71S8SZs9o
アニェーゼ「一方通行さんは?」
シェリー「おい風斬は来てねえのか風斬は」
「あ、あの、ドラコ様はお見えになってないのでしょうか?」
「大天使様は!? あの事件の後も現世に留まってくださっているのですか?」
ルチア「今回は垣根帝督のみです」
アニェーゼ「何だ垣根だけか……」
シェリー「あー、途端に眠くなってきたわ。 マジ萎えるわー」
アニェーゼ「ま、一応歓迎しときますか。 どーぞごゆっくりー(棒)」
垣根「殺していいな?」
ルチア「抑えてください」
96 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/02(木) 11:00:50.84 ID:71S8SZs9o
心理定規「修道女とあなたって反り合わなそうだしねえ」
アニェーゼ「ん?」
シェリー「誰だその女」
心理定規「垣根帝督の連れでーす、よろしくね」
アニェーゼ「しかも女連れかよ……」
シェリー「マジで何しに来たのって感じね」
垣根「俺の女じゃねえよ、妙な誤解してんじゃねえ」
心理定規「そこまで必死に否定することないじゃない」
97 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/02(木) 11:01:31.48 ID:71S8SZs9o
シェリー「白髪のガキとか天使とかは本当に来てないの?」
垣根「今日は俺だけだ」
アニェーゼ「仕方ねぇです、垣根さん一人で妥協するとしましょう」
垣根「クソ生意気なガキだなテメェ……」
ルチア「…………。 では私は朝食の準備に取り掛かりますので、
お二人はゆっくりと寛いでいてください。 失礼します」スタスタ
アニェーゼ「……ふんふん? でもまぁ、シスター・ルチア的には僥倖ですかね?」ニヤリ
垣根「ああ?」
シェリー「そういやお前、そんな話してたわよねえ。 こいつらが帰った後も」
98 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/02(木) 11:03:04.61 ID:71S8SZs9o
アニェーゼ「とりあえず、第三次世界大戦と『第一九学区事件』が相次いじまったせいで
生まれた暇っつーもんが少しは潰せるってなトコですよ、この状況は」ニタニタ
垣根「さっきから何をぶつぶつ言ってんだ? あー、お前なんて名前だっけ」
アニェーゼ「なっ!? 前来た時名乗りませんでしたっけ!?」
垣根「記憶にねえんだわ」
アニェーゼ「失礼な野郎ですね。 アニェーゼです、アニェーゼ=サンクティス」
シェリー「垣根の連れの女は初めて会うんだから別に自己紹介してもいいだろ。 私は、」
垣根「シェリー=クロムウェルだろ、お前は覚えてるよ」
シェリー「あら、そう?」
99 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/02(木) 11:03:51.44 ID:71S8SZs9o
アニェーゼ「何でシェリーさんだけ……」
心理定規「あなた達もやっぱり魔術師なの?」
アニェーゼ「うーん、まぁ一応そうなりますが……、あれ? そんな事を聞くってこたぁ、」
シェリー「お前、学園都市の人間か」
心理定規「そゆ事。 垣根帝督と同じ能力者よ」
アニェーゼ「もしかして『天使同盟』の一員だったりします?」
心理定規「そうよ」
垣根「呼吸をするように嘘をつくんだなお前は。 んなわけねえだろ」
心理定規「別にいいじゃない、加盟させてよ」
100 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/02(木) 11:04:31.11 ID:71S8SZs9o
垣根「冗談じゃねえ。 六人もいれば充分だろうが」
アニェーゼ「……六人?」
シェリー「白髪のガキ、風斬、ミーシャ=クロイツェフ、……えーと、ドラコだっけ。
それにお前で……五人じゃねえか。 まさかあれから一人増えたのかしら?」
垣根「そうだな、じゃあその辺も含めて『第一九学区事件』後の事を話すと
するか。 一応お前らも関与してるしな。 ただし、メシが出来てからだ」
シェリー「それと、『暴徒』の連中についてもだろ?」
垣根「話が早くて助かる。 それと、あとは俺からの個人的な相談だ」
心理定規「にしてもここ、シスターだらけね……。 量産でもしてるの?」
101 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/02(木) 11:11:46.31 ID:71S8SZs9o
今回はここまでです。
垣根帝督、まさかの……というか必然ですが、さりげにハーレム状態です。
彼がこのSSでこうなるのも珍しいですが、たまにはいいんじゃないでしょうか。
ただ周りの女性陣がどいつもこいつも一癖ありそうな……いえ、何でもないです。
次回も台本形式で、垣根がまったり近況報告して、おにゃのこ達が色々アクションしてくれます。
102 :次回予告はここまでです。 ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/02(木) 11:12:22.75
ID:71S8SZs9o
【次回予告】
「し、シスター・アンジェレネとシスター・オルソラが学園都市に!!?」
元ローマ正教のシスター――――――ルチア
「まぁもしかしたら一端覧祭の騒ぎに乗じたバカが誘拐事件なんてもんを
起こして、オルソラとアンジェレネが誘拐されるか、そうじゃなくても
巻き込まれてる可能性はあるかもしれねえけどな。 もしもだけどよ」
『天使同盟(アライアンス)』の構成員・学園都市第二位の超能力者(レベル5)『未元物質(ダークマター)』――――――垣根帝督
「魔術サイド側が秘密裏に報道規制をかけてんのよ」
イギリス清教『必要悪の教会(ネセサリウス)』の魔術師――――――シェリー=クロムウェル
「『禁書目録』を……使った? 能力者が……?」
元ローマ正教のシスター――――――アニェーゼ=サンクティス
「(ヤバいわね。 このテの話になると私は空気になる……)」
『クラッカー』の構成員・『心理定規(メジャーハート)』の能力者――――――ドレスの少女
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/02(木) 11:54:30.33
ID:tsdHbGBco
乙
垣根学園都市の状況把握しすぎだろwwwwww
エスパーかよwwwwwwww
と思ったら超能力者って訳すとエスパーだったな
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2012/02/02(木) 13:09:00.25
ID:csX2ZT3IO
がっくりされるていとくんwww
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(沖縄県) :2012/02/02(木) 22:04:44.20 ID:huFVZ7EG0
乙~
ついにていとくんにハーレムが・・・wwwwww
126 : ◆3dKAx7itpI [sage saga]:2012/02/04(土) 17:24:17.78 ID:KWx8Iu9Co
>>62、と仰ってくれる方もいらっしゃったので、
お言葉に甘えて小ネタをsage進行で投下します。
前回の小ネタの続きみたいな感じになっております。
127 :◆3dKAx7itpI [sage saga]:2012/02/04(土) 17:24:46.46 ID:KWx8Iu9Co
――【エイワス】
一方通行「……」
風斬「……」
垣根「……」
フィアンマ「……」
エイワス「新手のいじめ?」
ガブリエル「ckftu同類ajru素敵awt」
128 : ◆3dKAx7itpI [sage saga]:2012/02/04(土) 17:25:24.22 ID:KWx8Iu9Co
エイワス「どうだろう、ミーシャ=クロイツェフ。 私と式を挙げる気はないか?」
ガブリエル「……」
エイワス「いっそ清々しい」
一方通行「『天使同盟』はこいつが加盟してから確実におかしくなった」
風斬「申し訳ないですけど……その意見には賛同を禁じ得ません……」
垣根「俺にとっちゃ……いや、恩人でも何でもねえなこいつは」
フィアンマ「まあ、忌々しい存在ではあるな」
エイワス「君達、私相手なら何を言っても許されると思っていないか?」
129 : ◆3dKAx7itpI [sage saga]:2012/02/04(土) 17:26:05.65 ID:KWx8Iu9Co
一方通行「こいつが余計なヤツを勧誘するからこンな訳のわからねェ集団が生まれたンだよ」
風斬「で、でも……」
一方通行「ン?」
風斬「連れてくるのはエイワスさんですけど……その、最終的な判断は一方通行さんに
委ねてますよね……? そ、そこで首を縦に振っちゃうから結局一方通行さんが……」
一方通行「………………」
エイワス「くくく、痛いところを突かれたのではないか?」
フィアンマ「エイワスが推薦→一方通行が承諾のプロセスが組み上がっているんだな」
130 : ◆3dKAx7itpI [sage saga]:2012/02/04(土) 17:26:51.63 ID:KWx8Iu9Co
垣根「うさぎってのは寂寥感に殺される生き物なんだろ? 群れてえんだよこいつは」
一方通行「うるせェな……そンなンじゃねェよ。 俺が断ったって、エイワスが無理にでもねじ込むだろ」
エイワス「そんな強行手段、私は取らんよ。 根も葉もない事を言う」
風斬「でも結局……私も含めて、皆さんエイワスさんを頼ってますよね……」
一方通行「……」
垣根「……」
フィアンマ「……」
ガブリエル「vcxb成程pxtbj」
131 : ◆3dKAx7itpI [sage saga]:2012/02/04(土) 17:27:35.27 ID:KWx8Iu9Co
エイワス「風斬氷華、君は私の事が好きなのか?」
風斬「いえ」
一方通行「頼るっつーか……、なァ?」
垣根「俺達の場合、もうこいつに任せるしかねえって場面に出くわし過ぎなんだよ」
フィアンマ「そりゃこれだけの勢力が集まればな。 当然その周りを取り囲む環境も厳しくなる」
風斬「頼りになるじゃないですか……実際。 そうですよね?」
垣根「そうかぁ? 思い返してみれば微妙な結果ばかりじゃねえ?」
エイワス「ふふ、何を言う。 私ほど頼れる存在もそうはいまい?」
132 : ◆3dKAx7itpI [sage saga]:2012/02/04(土) 17:29:11.74 ID:KWx8Iu9Co
フィアンマ「そういう事を自分で言う辺り、自信家ではあるかもな」
エイワス「遠慮無く私に頼って構わんのだよ?」
一方通行「じゃ、なンか『やっぱ頼りになるなこいつ』的なアピールしてみろ」
風斬「♪一難去ってまた一難、」
エイワス「ぶっちゃけ想定内」
垣根「かっけえ!」
133 : ◆3dKAx7itpI [sage saga]:2012/02/04(土) 17:29:52.20 ID:KWx8Iu9Co
風斬「♪だって、」
エイワス「やってられます」
風斬「♪ストレスより、」
エイワス「エイワスでしょ」
フィアンマ「頼もしいな」
一方通行「つか風斬、オマエ……」
風斬「すみません、つい……」
134 : ◆3dKAx7itpI [sage saga]:2012/02/04(土) 17:30:42.42 ID:KWx8Iu9Co
――【風斬氷華】
一方通行「正直なァ、『天使同盟』は初期の三人で充分だと思うンだがよ」
エイワス「酷い事を言う。 ではその三人から更に一人リストラするとしたら?」
一方通行「なンで更に一人抜かなきゃならねェンだよ……」
垣根「テメェがリーダーなんだから、テメェ以外のどっちかだぜ」
風斬「……」
ガブリエル「……」
135 : ◆3dKAx7itpI [sage saga]:2012/02/04(土) 17:31:36.04 ID:KWx8Iu9Co
フィアンマ「どちらで答えても殺されそうな気がせんでもないが」
一方通行「………………ガブリエル」
ガブリエル「!?」
エイワス「何故だ?」
一方通行「『天使同盟』最後の良心だろォが風斬は……」
風斬「い、いえそんな……///」
ガブリエル「cktr不愉快xosr」
フィアンマ「普通に機嫌悪くなったりするんだなお前でも」
136 : ◆3dKAx7itpI [sage saga]:2012/02/04(土) 17:32:26.23 ID:KWx8Iu9Co
エイワス「しかし、『天使同盟』の中なら彼女が一番良識を弁えているしな」
一方通行「一緒に行動しててもハラハラする必要がねェからな」
風斬「わ、私……そこまで人間出来てませんよ。 人間じゃないし……」
フィアンマ「今気付いたが、『天使同盟』の女性陣には人間が一人もおらんのだな……」
垣根「でも風斬はなんか……見逃されてる感あるよなぁ」
風斬「え?」
エイワス「なるほど。 私やミーシャ=クロイツェフの奇行ばかり目立つ
この組織だが、その影で実は風斬氷華も割と無茶を犯していると」
一方通行「自覚あったのかオマエ……」
137 : ◆3dKAx7itpI [sage saga]:2012/02/04(土) 17:33:26.94 ID:KWx8Iu9Co
風斬「わ、私……そんな……」
垣根「おどおどした仕草の可愛さを武器にしてるって感じだよな」
風斬「そんなつもりは……私は」
一方通行「オマエら謂れのねェ事ほざいてンじゃねェよ」
垣根「こんな風にな。 一方通行が庇ってくれるが、よくよく思い返してみると
風斬も割とメチャクチャやってる感あるよなぁ? 裏番長みたいな感じか」
フィアンマ「まぁ……甘やかされてる感は否めんかもな」
138 : ◆3dKAx7itpI [sage saga]:2012/02/04(土) 17:34:02.40 ID:KWx8Iu9Co
風斬「……………………新参者のクセに」ボソッ
フィアンマ「ん?」
風斬「い、いえ……」
垣根「ま、常に風斬の味方でいてくれる白馬の王子様ならぬ白髪の王子様がいるからなぁ」
風斬「そんな言い方しなくてもいいじゃないですか…………垣根さん、死ねばいいのに」
垣根「え?」
一方通行(……たまに黒い部分出るよな、風斬……)
139 : ◆3dKAx7itpI [sage saga]:2012/02/04(土) 17:35:03.55 ID:KWx8Iu9Co
おしまい。こんなん投下するならさっさと本編進めろと言われそうですが、
その本編は明日投下します。しばしお待ちください!
それでは、大変失礼しました。
142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) [sage]:2012/02/04(土) 18:22:08.87
ID:FHB2+Qub0
黒風斬様に言葉責めされたい
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) [sage]:2012/02/04(土) 18:53:39.39
ID:TShBdiU70
残りは一方通行とミーシャだな
150 :◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/05(日) 06:25:16.41 ID:I0jgkS5Oo
――――――――――――――――――――――
ルチア「し、シスター・アンジェレネとシスター・オルソラが学園都市に!!?」ガターン
心理定規「あ、このスープすっごく美味しい」
垣根「ああ、来てたぞ」
アニェーゼ「あ、あの二人……なるほど、そういう魂胆だったんですか」
シェリー「たった二人でなぁ、よくやるよ本当」
151 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/05(日) 06:25:50.73 ID:I0jgkS5Oo
アニェーゼ「貴女はたった一人で学園都市に襲撃をかけたんじゃ?」
シェリー「…………それもそうだ」
垣根「あ? お前学園都市に来た事あんのか?」
シェリー「まぁね」
ルチア「ちょ、そんな事より垣根帝督!! その話は本当なのですか!?」
垣根「ウソついてどうすんだ。 つか大体考えてみりゃすぐに辿り着く答え
じゃねえか? あの二人がこっそりとここを抜け出して向かう場所なんて」
アニェーゼ「言われてみりゃそうですよね。 "あの二人"なんですから」
垣根「"あの二人"だからなぁ」
心理定規「?」
152 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/05(日) 06:26:31.32 ID:I0jgkS5Oo
ルチア「た、確かに……。 クソッ、今すぐ学園都市へ連絡を―――」
シェリー「少なくともここに学園都市直通の電話回線はないっつーの」
ルチア「では垣根帝督、あなたの電話を貸してください!」
垣根「やなこった。 いや別に良くね? 好きにさせてやれよ」
ルチア「しかし……」
垣根「あっちにゃ一方通行やミーシャがいるんだぞ? 万が一が起きるとでも思ってんのか?」
アニェーゼ「一方通行さんはともかく、大天使様がついてくれりゃ文句はねえですよね」
ルチア「む、むぅ……」
153 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/05(日) 06:27:32.74 ID:I0jgkS5Oo
シェリー「過保護過ぎるのよお前は。 そりゃ鬼姑だの何だのと言われるわ」
ルチア「ぐぬぬ……」
垣根「まぁもしかしたら一端覧祭の騒ぎに乗じたバカが誘拐事件なんてもんを
起こして、オルソラとアンジェレネが誘拐されるか、そうじゃなくても
巻き込まれてる可能性はあるかもしれねえけどな。 もしもだけどよ」ニヤニヤ
ルチア「そ、そんな事になったら私は一体どうすれば……」
アニェーゼ「どうもしなくていいんじゃねえですか? それこそ大天使様とかいますし」
ルチア「し、シスター・アニェーゼやシェリーさんは不安じゃないのですか!?」
シェリー「別に」
アニェーゼ「同じく。 ただそれは冷酷っつー訳じゃなくて、それだけあの二人を信頼
してるって事ですよ。 そういう意味じゃシスター・ルチアもそうでしょう?」
154 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/05(日) 06:28:10.50 ID:I0jgkS5Oo
ルチア「……」
垣根「何かあったら誰かが連絡寄越すだろ、気にすんな」
ルチア「……そう、ですね」
アニェーゼ「ま、それはさておき……あの事件の後の学園都市はどんな感じなんです?」
垣根「普通に文化祭やってる辺り、まぁ平和なんじゃねえの? 何かもう世間や
マスコミもあんまり『第一九学区事件』や『天使同盟』について報道しねえしよ」
シェリー「魔術サイド側が秘密裏に報道規制をかけてんのよ」
垣根「そうなのか?」
155 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/05(日) 06:29:09.35 ID:I0jgkS5Oo
シェリー「例の『暴徒』の件を表沙汰にしたくないんだろうな」
アニェーゼ「大天使様は無事なんですか?」
垣根「無事も何も、あの破天荒な性格に拍車がかかってるくらいだ」
シェリー「ハッ。 よく学園都市が無事でいられるな」
心理定規「ちょっと」クイックイッ
垣根「あん?」
ルチア(そ、袖を……)
心理定規「さっきから話題に出てる大天使様って何よ?」
垣根「そこからかよ……」
156 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/05(日) 06:30:05.70 ID:I0jgkS5Oo
アニェーゼ「貴女は『天使同盟』について何も知らねえんですか?」
心理定規「あなた達にとっては『天使同盟』は割と身近な存在なんでしょうけど、
学園都市の人間にとっては未知でしかないのよ。 暗部に属する私でさえ
入手出来た情報はその存在の真偽と構成員くらいだった、詳細情報無しでね」
垣根「じゃあお前、風斬の事とかも知らねえのか」
心理定規「構成員の詳しい素性はあなたと第一位くらいしか知らないわ」
シェリー「ミーシャ=クロイツェフっていう大天使がいるのよ、こいつらのとこには」
心理定規「ミーシャ=クロイツェフ? サーシャ=クロイツェフじゃなくて?」
ルチア「サーシャ=クロイツェフの事はご存知なんですね」
157 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/05(日) 06:32:08.37 ID:I0jgkS5Oo
垣根「あ、そう言えば結構前に誰かから聞いたんだけどよ、サーシャとミーシャって
肉体がどうのこうのであーだこーだだから名前が似てるのか? そもそもミーシャ
の本来の呼び名って『神の力(ガブリエル)』なんだろ? 何でミーシャなんだ?」
心理定規「???」
ルチア「ええっと、ミーシャという名は本来『神の如き者』が名乗るべき名でして」
垣根「ミカエルだからミーシャなのか? じゃあサーシャは元々の名前か?」
シェリー「ああもう面倒くせえな……端折ってもいいんじゃない?
その辺についてはいずれ分かる事でしょうし」
垣根「いや端折るなよ……」
心理定規「つまりどういう事だってばよ」
158 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/05(日) 06:33:02.86 ID:I0jgkS5Oo
アニェーゼ「個人的には事件の詳細について詳しく聞きてえんですがね。
黒い霧とか空から降る羽根とか、あの時何があったんです?」
垣根「俺は詳しく知らねえんだよなぁ、その辺の事は」
シェリー「当事者だろうがお前は」
垣根「俺、あの戦いの時に『禁書目録』を使っちまってな。 頭ん中ボロボロに
なって、記憶が曖昧なんだよ。 曖昧っつか、ほとんど覚えてねえかも」
シェリー「は、はぁ……!?」
アニェーゼ「『禁書目録』を……使った? 能力者が……?」
ルチア「…………!!」
159 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/05(日) 06:33:44.39 ID:I0jgkS5Oo
心理定規「"きんしょもくろく"って何?」
アニェーゼ「呆れて物が言えねえですね……貴方、バカでしょ?」
シェリー「よく生きてられたな」
垣根「まぁ、おかげ様で―――」
ルチア「………………それで、あの時」
垣根「?」
ルチア「それであの時、……あんな消え入るような声で私に……!!」
160 : ◆3dKAx7itpI [saga]:2012/02/05(日) 06:34:30.44 ID:I0jgkS5Oo
垣根「な、何だよ」
アニェーゼ「……あぁ、そういえば私達、ミサカさんの協力を経て貴方達に連絡を取ったんですよ」
シェリー「あの辺は私もよく覚えてないんだけどな(寝起きだったから)」
垣根「…………? あ、そういえば俺が"死にかけてた"