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切れた糸を繋いで

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322 :『切れた糸を繋いで』 前編:2011/03/05(土) 22:00:22 ID:mvKUBXfk

ある休日の朝、御坂美琴はベッドに腰掛けたまま携帯電話とにらめっこをしていた。

(あーもう、なんで電話くらいでこんなに悩まなくちゃいけないのよ!)

昨日、美琴はなんとなく上条当麻に会えそうな気がしたので、町をぶらついていた。
このような直感があった時には、高確率で遭遇することができていたからだ。
しかし、昨日は珍しくあてが外れ、上条に会うことはできなかった。
そのせいもあってか、昨日からずっと、胸にモヤモヤしたものが残っている。

(休みだから遊びに行こうって言うだけじゃない。それだけなのに、なんでこんなに緊張してんのよ、私……)

美琴はいまだに最後のボタンが押せないでいた。

上条当麻はいつものようにバスタブの中で目を覚ました。
起き上がろうとして腕に力を込めるが、体が持ち上がらない。加えて頭がフラフラする。

(風邪でも引いたかな、体が重い……)

気力を振り絞って立ち上がる。
風呂場から出た後、同居人に風邪を移さないために、なんとかして小萌先生の家に誘導する。
……本音は静かに休みたいからだったが。
誘導に成功した後、上条は空いたベッドで休もうとした。
しかし、ベッドにたどり着く前に目の前の景色が白くぼやけていく。

(……こりゃ思ったよりヤバイかもな)

上条の体から力が抜けていき、体勢が崩れそうになる。そのとき、携帯電話が鳴った。
着信音のおかげで上条は意識を取り戻す。携帯電話の画面を見ると、電話をかけてきたのは御坂美琴だった。

「もしもし、なんか用か?」
「い、いや、と、特に用があるわけじゃないんだけど……そうだ!アンタって今日暇だったりしない?」
「暇ではあるんだが、ちょっと……」
「ちょっと?」
「悪い、ちょっと体調がよくないんで今日は寝て……ようと思うんだ」

途中で一瞬、意識が飛びそうになり言葉が詰まってしまう。

「そ、そう……」

話している間に意識がだんだんと遠くなっていく。そしてついに、上条は意識を失い床に倒れた。

「もしもし? 今大きな音が聞こえたけど平気? ……ねえ、聞いてる?」

上条の返事はない。

「……今からそっち行くから!」

美琴はそれだけ言うと、電話を切った。

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