- 公開日 :
- 2018年08月06日 08時00分
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1 : ◆eXipHdytqM 2017年12月23日 (土) 22:15:25 EbIRlnaw0
奴隷市場、と聞いて君たちは何を想像するだろうか。
鎖で一繋ぎにされた、逞しい異邦人? 檻の中で涙を流す、全裸の女騎士?
それらは、一部正しい。ただ、同時に最低な存在と言わざるをえない。奴隷たちが? いや、それを扱う商人どもが、だ。
奴隷とて、大事な商品である。客の手に渡されるその時まで、大切に扱わねばならない。
この辺りの事情に疎い私であるが、人伝に聞いた『良い』市場に足を踏み入れてみて、おおよそ理解することができた。柵の向こうで筋肉を披露する人足、通りに出て愛想を振りまく執事、給仕。彼らの体に不必要な傷は無く、疲弊した様子も見られない。
あちこちで交わされる商談をすり抜け、私は一番奥にある大きなテントに向かった。紫色の分厚い布をめくると、中は間仕切りで区切られた小さな部屋になっていた。
隅にある、商談用と思しき机に向かって書き物をしていた初老の男が、来客に気付いて立ち上がった。天井からぶら下がったランプに照らされた私の姿を見て、彼は少し意外そうな顔をした。
↓1 『私』について(職業、年齢など)続きを読む