- 公開日 :
- 2024年01月20日 20時00分
2: 名無しで叶える物語 (ブーイモ 854a-f841) 2024/01/07(日) 18:11:05 ID:iRUyyadgMM
彼女と出会ったのは蓮ノ湖のほとりを散歩している時のことだった。
まだ朝早く、湖に陽光が十分に差し込んでいないような時間だった。あたりには霧と、ほの暗さと、寂しさが満ちていた。
初めて出会った時の彼女は、小さく、弱く、傷ついていた。それは全く比喩ではなく、彼女は実際ケガをしていた。
湖のそばの、太い木の根元で、小さな身体を震わせていた。
毛並みは泥と血で汚れてしまっていて、その上、乾いて固まっていたから、最初は、野ざらしにされたヌイグルミのように見えた。
小刻みに震えていなければ、その子が生き物であることにも気付かなかっただろう。